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本当にあったゾッとする話5 -夜歩く者達-

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今、この文章を読んでいる人は、深夜の街中を歩いたことがあるだろうか。
都会の繁華街であれば、そこが深夜とは思えないような場所もあるだろうが、たとえ東京の23区内でもそこが住宅街であれば、森閑として誰一人いない世界だろう。
その中に一人だけで立ったところを想像していただきたい。
そこで心の底から感じるのは、寂しさだろうか心細さだろうか孤独感だろうか、それとも本当の解放感だろうか。

大学を卒業して就職し、数年が経過した20台前半の頃、私は親から独立したくなって、都内にアパートを借りて一人暮らしを始めた。
結婚するまでのほんの2・3年の生活だったが、その時の経験は自分の人生に得難い色を添えてくれたと思っている。長い人生からすれば、ほんの一瞬の出来事ではあったけれど。

その頃のことだ。
私は夜遅くまで夕食も摂らずに残業をして、仕事を終えて会社を出たときは、既に時計の針は午前0時を回っていた。
都内に住んでいたので電車はまだ走っていて、自宅の最寄り駅で降りた私は、駅前のコンビニで自分の遅い夕食となる弁当を買い、その弁当が入ったビニール袋をぶら下げてアパートへと歩いた。
駅から10分くらいの道のりだが、ずっと住宅街を抜けて行くため、この時間になると誰かとすれ違うことはほとんどなかった。
けれどその夜は、私の15メートルほど先の街頭の灯りの中に、私と同じ方向に歩いて行くOL風の若い女性の姿があった。
私の歩くスピードは速い。普通の人は時速5キロ程度で歩くそうだが、私は1分で100メートル、つまり時速6キロの速度で歩く。
その若い女性は、私の帰り道をまったく同じルートを辿って歩いて行く。
従って、私と私の前を歩く若い女性との距離は、みるみるうちに詰まって行く。その女性はときどき長い髪をふわりと動かして後ろを振り返る。私と若い女性との間の距離が5メートルほどになったとき、その若い女性はまた振り向くと、いきなり走り出した。
驚いた私は、私の背後に何か恐ろしいものでもいるのかと、後ろを振り返ってみた。
しかしそこには何もいなかった。
と言うことはつまり、その若い女性が恐ろしいものと思ったのは、私だったのだ!!
まだ若かった私は、そう気づくと思わず頭に血が上り、若い女性を追って猛然と走り出した。
懸命に走る女性との距離があっと言う間に縮まり、私はその女性に追いつくと、そのまま女性を追い越して自宅のアパートまで走り続けた。

今となっては、あの女性には悪いことをしたと反省している。私の若い頃の、少しだけ酸っぱい思い出の一つだ。