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Parasite Resort 第一章

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 以下Wikipediaより抜粋

 シナプス――シナプス(Synapse)は、神経細胞間あるいは筋繊維(筋線維)、ないし神経細胞と他種細胞間に形成される、シグナル伝達などの神経活動に関わる接合部位とその構造である。

 ホムンクルス――体性感覚において脳機能局在論による脳皮質の該当区分のこと。体性感覚を参照。

 体性感覚――体性感覚(たいせいかんかく)は、生理学や医学の用語で、皮膚感覚、深部感覚、内臓感覚を指す(内臓感覚を除外する立場もある)。

 以下補足

  ベンジェミン・リベットの実験――カリフォルニア大学サンフランシスコ校の生理学者、医師。人間が物事を行う時、どのタイミングで意識というものが発揮されているのかを実験した人物。例えばコップを手に取る場合を考えてみよう。

 一般的には、こう考えられている方が多いと思う。

 コップを手に取ろうと意識する→脳が手を動かす準備をする→脳が意思を手に伝える→手でコップを掴む。

 つまり、意識が最初にあって、体を動かしている――こういう考えが一般的な論ではなかろうか。

 しかし、ベンジャミン博士による実験の結果は、定説を覆えす、予想外の結果であった。

 脳が手を動かす準備をする→コップを手に取ろうと意識する→脳が意思を手に伝える→手でコップを掴む。

 この実験結果から分かる事は、意識が動作の初動では無いということである。意識する前に、脳が動作の準備を始めているというのが、ベンジェミン博士の実験によって明らかになったわけである。

 脳中受動意識仮説――ベンジェミン博士の実験を踏まえて、慶應義塾大学理工学部の前野隆司教授が説かれているもの。人が行動を起こす時の初動は、意識では無く、無意識かによって引き起こされている。意識は、それをまとめて要約している「副産物」に過ぎない。

 ドグラ・マグラにおける『脳髄論』――夢野久作の探偵小説「ドグラ・マグラ」の作中において、正木先生という人物が『脳髄論』というものを解いておられる。簡単に説明すると「脳はものを考える所にあらず」というものが、論の主幹である。脳の無い下等動物でさえ、敵から身を守り、餌を食べ、子を宿し、育てるといった行動を取る――脳があってもそれをやらない人間すらいるというのに――鑑みるに、脳とは一体、肉体の中にあって、ものを考え、行動を起こさせている主役であると言えるのであろうか?

 意識――人間の意識が、脳のどこにあるのか――それが局在しているのか――脳科学は、未だそれを解明できていない。それを、脳以外に探るといった研究がなされているのを、作者は寡聞にして聞かない。

 意識とは……行動の副産物に過ぎない……人間を動かしているのは……未だ科学によって解明されていない……無意識下の「なにか」……なのかも知れない……それは……ひょっとしたら……人間そのものではなくて……人間以外の何か高等な精神体……なのかも知れない……貴方を動かしている無意識下の何か……その正体こそが、「アナタ」なのかも……知れませんね。

*****

 ブラックアウト……本日何回目のブラックアウトだろうか?黒家旦の意識は、黒闇に堕とされた。

 隙間ない黒い闇の中に、その闇をこじ開けるように点在している光があった。それは2つあった。1つは禍々しい赤。或る素人作家が好んで使う表現を用いるならば、「それは邪悪な蛍のように赤々と明滅を繰り返していた」といった風な光。もう一方の光、それは荘厳な白、金属光沢を伴った光、聖なる属性を感じさせる光、赤い光とは対照的に、激しく瞬いている。「暖かみの無い木漏れ日と」いった風。

 赤い光の正体が、アザゼルであろう事は、旦には容易に想像がついた。そして、もう一方の光の正体はたぶん――シュミハゼというアザゼルの同類――そうに違いない。旦は、闇に目を凝らし、光を見つめた。

 動きがあった。光は大きく激しく急速に動き始めた。闇の中を2点の光が行き交っている。時にその光達は、眩しい光をまき散らして、衝突をした。小さな光の破片が闇に零れて、そのうち、大輪の花火の残光が夏の夜空に溶け込んでいくように、じっくりと闇に同化して、消えてなくなった。

 音があった。キィイーンという音であった。金属と硝子をぶっつけたような音。それは衝突のたびに必ず発生した。

 旦は直感した――あの光達は、それぞれの存在をかけて、戦っているのだな――と。

*****

「シュミハザ……この体から出て行け」

 アザゼルは全身を透明感のある赤い炎で包み込み、握りしめた拳に、一際大きくそれを宿らせて、宿敵シュミハゼを睨んだ――ゾッとするような瞳の赤、血の色そのもの。その異様なる威容、赤い肌に短い銀色の頭髪。ほつれた麻布をその赤い体に巻き付けてはいるが、引き締まった乳房は、ほとんど露見している。アスリートのような下肢の引き締まり、よく見ればタトゥーのように黒々とした刻印が、その肌に刻まれている。それは体のあちこにあった。

 アザゼルの邪視眼を鼻息で笑うと、方や全身真っ白なシュミハザは、翼こそなけれど天使のような佇まいで、闇に浮かび上がり、全身から溢れる白い冷光を、激しく瞬かせていた。アシンメトリーに白布を纏わせた体、色白という表現では言い切れぬその白の濃さ、白磁のそれ、生命とは無縁のべったりとした白。真白く細すぎる体幹から伸びる、それまた細すぎる長い腕は、その先にある拳の更に先端に、銀爪(ぎんそう)を10生やしている。その爪だけが、天使のような風貌の中、唯一禍々しく猛るように異彩を放っていた。

 シュミハゼがアザゼルの体を眺めているその眼には、憎悪とも情欲とも分別出来かねる、ともかくも激しい執着が宿っている。その瞳の色は、銀の一色。

「お前を殺す……この人間の体が、お前の墓となるのだ。この人間の無意識下の闇のもがりで、永遠に活動を停止させてしまうがいい」

 情報生命にとっての死とは、一体どのような状態であるのだろうか……きっと、情報の更新がなされなくなる状態、それが彼らにとっての「死」なのではなかろうか。あくまで推察に過ぎないのだけれど――旦は、戦いの決着が、アザゼル、シュミハザ、どちらか一方の死によるものであるならば、どういった形に終わるのであろうかと考える半ばに、彼らの死の形態に、斯様な思いを馳せた。

(この戦いが終る時……俺の体は……一体誰のものなのだろう?)

 目の前の闇が、旦の脳内における空間であるならば、今、旦の体には、アザゼル、シュミハゼ、黒家旦のつごう3つの意識が、宿っているという事になる。シュミハザの意識は、おそらくであるが、旦の頭部をアイアンクローして、脳の奥に食い込んできた銀色の爪の先から、この体に侵入してきたのだろう。

 戦いを眺めながら思った。

(どちらかの勝利を……何も出来ず俺はただ待っている……それでいいのだろうか?……俺の勝利は……ないのだろうか?)

 精神寄生体アザゼルVS精神寄生体VSシュミハザ……VS大学院生、黒家旦。
作品名:Parasite Resort 第一章 作家名:或虎