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料理

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ホットケーキミックスを買った、んで牛乳の賞味期限が切れそう。
この二つの言葉であのアホを召喚することに成功した。
最近料理を覚えようと奮闘しているじろーを呼び出すにはばっちりの言葉だったようだ。

料理といってもヤツが出来るのは、目玉焼きや卵焼きといったありきたりな卵料理のみ。
包丁を扱う後姿もかなり危なげなかったのを覚えている。
そんなヤツがなぜ料理をやろうと思ったのか、簡単なことだ。
料理番組を見て自分もやりたいと思った。なんて単純な動機だろうか。

どうせすぐ飽きるだろ、と喉まで出かかった言葉を飲み込み、俺はじゃあ、といって先ほどの言葉を告げたわけだ。


いそいそと部屋を訪れたじろーは、俺が何をやっているのかなんて目もくれず、じゃあ早速!といって冷蔵庫を漁りだした。
そんなヤツを横目で見つつ、料理は完全にヤツに丸投げし、俺はゲームに勤しむことにした。
どうせ隣に居たって邪魔だと言われるか、むしろ手伝えなんてことを言われそうだ。


自分で料理するのが面倒だったからコイツを呼んだというのに、手伝うなんてそんなことするもんか。

体良く利用されていることはじろー自身も分かっているだろうが、まあそれくらいで憤慨するようなヤツでもないしそういう間柄でもない。



扉を閉めているというのに、キッチンのほうからはじろーの「うわ!」とか「なんでこんな風になるんだよ!」とかいう悲鳴が聞こえてくる。
まったく、何をやっているのか。

若干気になりはするが、あえてそのままスルーする。
たぶん反応してくれるのを待っているであろうヤツの思惑に乗るなんて癪だ。


15分後、ようやく下準備が出来たらしいじろーは、一度こちらの部屋へちょこちょこと駆け寄ると、自分の鞄からiPodを取り出しそのまま音楽を聴き始めた。
無言のままキッチンに戻り扉を閉め、しばらくしたところで聞き覚えのあるメロディーを口ずさみ出した。
妙に上手いのが腹立たしい。


癪なのには変わりないが、今度はゲームを一度止めてちょっとだけキッチンを覗く。

こちらの視線に気付いたらしいじろーは暢気に鼻歌を鳴らしながら、「今焼いてるとこだぜー!」ドヤ顔をしてみせた。非常にうざい。


冷めた目でじろーの顔を見つめ、そのまま無言のままキチンのドアを閉めてまたゲームを再開させる。
じろーは「なんだよー!」という声をあげた後、まるで何もなかったかのようにまた歌いだした。
相変わらずの楽しそうな歌声と、ホットケーキの焼ける美味しそうな匂いが部屋に広がる。


ま、楽しそうで何より。
歌っていたせいで焦がしたなんて言ったら文句を言ってやろう、なんて考えながら、知らず知らずのうちに緩んでいた口元には気付かないふりをした。



作品名:料理 作家名:だんご