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飛鳥川 葵
飛鳥川 葵
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ゲイカクテル 第9章 ~ TAG THE PARTY ~

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次の日、二十三時に各警察は配備を始めた。海上警察は警備艇を港の入り組んだ所に停泊させた。港班は目立つといけないので徒歩で港に向かった。護送車は少し離れた建物の陰に潜ませた。オーランド郡警察の襲撃班は魚市場の五番倉庫の近くに車を停めた。SWATはバンの中でメイカーズマーク・ライフルとジーマを装備して、五番倉庫から少し離れた所に停めた。
 ノイキルヒ警察の尾行班は車二台に分乗し、オーランドの港で待機した。SWATは装備を万全にし、署内で待機した。ホランド郡は恐らく地理的に一番遠いので、少しゆっくりしていた。但し尾行班は既にオーランドの港に向かっていたが。ノイキルヒはオーランド郡の隣のフォーブスランド郡の中央にある。ホランド郡は途中、サザランド郡を挟むので、その分遠い。それでも準備はしていた。尾行班は道中、無線のチェックも、特別につけてもらった車内電話のチェックも済ませた。襲撃班はそれに比べるとゆっくりしていた。まずSWATと刑事は武器庫で、SWATはメイカーズマーク・ライフルとジーマを、刑事はジーマを支給してもらった。そして各車両に乗って待機した。護送車は港と各警察に数台用意された。
 深夜0時になると、皆張り詰めた雰囲気になり始め、ピリピリしていた。こう言ってはなんだが、早く取引が始まればいいと思っていた。そう思うものの、現実は往々にしてそうはいかない。時間がゆっくりと進む。中には待機中に煙草を何本も吸う者もいた。流石に酒を吞む者はいないが。
 やっと0時半になり、動きがあった。港班がこんな時間に明かりを点けている不審船がいると一報を入れた。ホランド郡の統括連絡係にも一報を入れ、警備艇は気付かれないようにライトを消したまま近づいた。やがて不審船は出港していった。警備艇は距離を保ちながら尾行した。二十五分後、不審船は共和国との国境線に停泊した。五分後のちょうど一時に、共和国側から小型の貨物船がやって来た。不審船の横に停泊し、乗組員が次々に木箱を海に投げ入れた。不審船の乗組員がそれを拾う。全部で十二箱あった。
 警備艇の刑事は全員暗視ゴーグルで見ていた。そして逐一無線を入れた。連絡係は統括連絡係に一連のあらましを伝えた。やがて小型貨物船は去り、不審船の乗組員が十二箱拾い上げると、港に向かって戻り始めた。その時港班から連絡係に無線が入った。出るとハルシオン運輸という、如何にも怪しげな会社のトラックが三台停まっているという。連絡係の一人がパソコンに向かい、ハルシオン運輸を検索した。すると会社は存在するが住所が出鱈目だった。ダミー会社である。港班にそう伝え、三台共見張っておくように伝えた。
 三十分後、不審船が戻ってくると、トラックの荷台から数人ずつ降りてきて、不審船の乗組員から木箱を受け取り、荷台に運び入れた。木箱を四箱ずつ三台に乗せると発進した。各警察は尾行を開始した。港班は無線でシルバーブルーが入っていると思われる木箱が四箱ずつ積み込まれたと報告した。そして今から乗組員を逮捕すると伝えた。
 警察が不審船に乗り込み、格闘の末、全員逮捕した。それを報告すると尾行班も連絡を入れた。オーランド郡は無線で、ノイキルヒとホランド郡は車内電話で尾行を開始したと一報を入れた。五分後、トラックはオーランド郡の魚市場の五番倉庫に停まり、木箱を降ろし始め、一人が倉庫のシャッターを叩いた。シャッターが上がると、二人の男が出てきて二箱ずつ中に運び入れた。そしてシャッターが閉まると乗組員はトラックに戻った。
 そこへ張っていた襲撃班が襲いかかった。トラックの乗組員は何が起きたか分からず、あっさり捕まった。倉庫内に売り手と買い手が数人ずついて、銃を取り出して襲ってきた。SWATは彼等を取り囲んでジーマを向けると、彼等は降参した。刑事が急いで手錠を掛ける。現行犯は護送車二台に分乗した。無線で作戦完了を伝え、連絡係もホランド郡にそう伝えた。

 次はノイキルヒである。オーランド郡が作戦完了した時、尾行班はフォーブスランド郡との郡境にいた。最初は幹線道路をノイキルヒに向けて走っていたが、途中で脇に逸れてノイキルヒのはずれへと向かった。一人の刑事が漏らした。
「こりゃ貸倉庫群に向かうな」
「そうだな。無線入れようか」
「あぁ、そうだな」
 助手席の刑事が無線を取り、どうやら貸倉庫群に向かっているので、襲撃班をそっちへやって欲しいと言った。連絡係は襲撃班にそう伝えた。尾行班のもう一台は近道をして貸倉庫群に向かった。残った一台は引き続きトラックを尾行した。
 トラックは貸倉庫群に着くと、助手席の男が入口の鍵を開けて扉を開け、トラックに戻った。トラックが発進すると尾行班の二台も発進して中に入った。貸倉庫群は広い。およそ百の貸倉庫がある。道も広い。大型トラックが簡単にすれ違えられる。
 トラックは五十六番の貸倉庫で停まった。尾行班は襲撃班に無線を入れ、急いで五十六番貸倉庫に来るように言った。襲撃班は猛スピードで入口から五十六番貸倉庫にやって来た。護送車もやって来た。尾行班は五十六番貸倉庫を通り過ぎて、後は襲撃班に任せた。トラックの乗組員が降りてきて、荷台から木箱を降ろすと、一人の男がシャッターをノックした。するとシャッターは開き、若い男が木箱を中に運んでシャッターを閉めた。襲撃班はすかさず車を降り、トラックの乗組員と格闘の末、全員を逮捕した。それと同時にシャッターを開けてSWATと刑事がなだれ込んだ。
 売り手と買い手がいたが、買い手の一人は学生らしき若い男だったが、もう一人は刑事に見覚えがあった。ノイキルヒ警察の麻薬課刑事のエヴァン・ウィリアムスだった。一瞬互いに驚いたが、エヴァンが先にジーマを抜き、売り手もヴァージン・オートマチック銃を抜いた。SWATは周りを取り囲み、銃撃戦になった。一人の刑事が言った。
「殺すな! 生け捕りにしろ!」
 言われた通りにSWATは急所を狙わず、銃を持っている腕ないしは肩を狙った。銃撃戦はしばらく続いたが、SWATの弾が次々に当たりだした。エヴァンは右肩に弾が当たってジーマを取り落し、売り手も太腿や肩に弾が命中して撃てなくなった。刑事は全員に手錠を掛けた。一人がエヴァンの頬に平手を喰らわせた。
「この恥知らずがっ!! 麻薬課に泥塗りやがってっ!!」
 他の刑事がエヴァンを立ち上がらせて連れ出そうとすると、先程の刑事がエヴァンの尻に蹴りを見舞った。護送車に分乗し、エヴァン達は中で応急処置を受けた。一人の刑事が無線で作戦完了と伝え、連絡係はホランド郡にそう電話を入れた。