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ACT ARME5 レッツ・トレジャーハント!

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今日もAROに、ピンポーン♪と軽快な呼び鈴が鳴る。
レックが扉を開けると、そこに立っていたのはアコだった。
「よ。」
「お、いらっしゃい。アコ。どうした?」
アコを中に入れつつ質問するレック。
「ん〜、ちょっとね。昨日ツェルから渡したいものがあるとかなんとか言われて、ここで待っててほしいって言われたの。」
「へぇ。渡したいものってなんだろう?」
「さあ、それはわかんないわ。ところで、ルインは?」
「ルインならさっき出かけたよ。」
「え?」
アコは驚いて足を止めた。
「ルインが出かけてるなんて・・・。ヤバイ、明日洗濯しようと思ってたのに。」
えらい言われように、レックも呆れながらそれでも同意する。
「雨降ること確定なんだ・・・。まあそう言いたくなる気持ちもわからなくはないけどさ。」
新入居者にここまで言わしめるほどであるから、この家の主はよっぽどなのである。
最も本人曰く、「外に出ると大抵よからぬ厄介ごとに巻き込まれるから、それを避けているだけ」なのだそうだが。
しかし、こちらの視点からはっきり言わせてもらうと、巻き込まれているわけではなく、お得意の口撃により、招き寄せているようにしか見えない。


アコがAROに来て暫く後、再び呼び鈴がなった。
「お邪魔します。」
「おお、いらっしゃいツェリライ。アコならもう来ているよ。」
部屋に入ると、アコが待ちわびていた。
「おっそ?い。待ったわよ。」
「いや、すみませんね。最終調整に若干時間がかかってしまったもので。予定よりも遅くなってしまいました。」
「調整?それのこと?」
そう指摘され、ツェリライはメガネを上げつつ手に持っていたものを差し出した。
「ええ。これです。」
「なにコレ?」
それは、棒の先端に水晶大の大きさの球が付いた、SFではお馴染みの杖のようなものだった。
「僕オリジナルの孔変換制御装置。アトルロッドです。」
「あとるろっど?何その名前?」
「僕が命名しているので、気に入らなければ好きに改名していただいて結構です。早い話が、これはアコさんの武器ですよ。」
と、アコは本人にとっては突拍子もない話に、素直に驚いた。
「え?え?え?あたしに?武器?なんで?」
「なんでって・・・。決めたんじゃなかったんですか?自分の力は自分のために使うと。」
その質問に、アコは素直に頷く。
「うん決めたよ。」
「ということはつまり、あなたの力を他人に勝手に使われないためにも、あなた自身がその力を使いこなせるようにならなければならないということになりますよね?」
この質問にも頷く。
「うん、まあそういうことになるのかな。」
「それならばこれは必要なのではありませんか?」
この質問だけは手を顔の前で左右に振った。
「いや、その理屈はおかしい。」
「おかしくありません。全くもって正論です。」
「だって、あたしは別に自分から戦おうって思ったわけじゃないのよ?戦わないのに武器なんているの?」
そのアコの言葉に、一部ながら共感したレックも話に加わる。
「まあ、ツェリライの言いたいこともわかるよ。いざって時にアコも自分で何とかできるようにという意味での武器なんだろうし。でも、それはボクらでどうにか出来る事なんじゃないかな?」
その言葉に、ツェリライはため息をこぼしながら反論する。
「なにをそんなぬるま湯を10℃下げたようなぬるいことを言っているんですか。もし、ルインさんたちの助けが間に合わない場合は、どうするつもりなんですか?」

「う・・・それは。」
「先日の件だって、アコさんの誘拐された場所がトラッキングの捜索範囲内に収まっていたために、あそこまで早く場所を特定できたんです。もし、そんなにすぐ見つけられない場所へ連れ込まれた場合はどうするつもりなんですか?」
「ぐ・・・」
言い返せない二人に、ツェリライはさらに追撃をかける。
「確かに、アコさんが今後自分の力を使うからといって、それを戦うということと=で結ぶことはしてはいけません。ですが、いざという時の防衛力は必要です。」
「・・・・・・」
「それに、力を使うというのは何も戦闘だけではありません。日常的とまではいかなくとも、力を使う機会は間違いなく増えます。それすなわち、周囲にアコさんの力の存在を知られる可能性が高くなるということでもあるんです。つまり、僕が何を言いたいかわかりますか?」
「つまり、それだけアコが誰かに狙われる可能性も高まると?」
「そういうことです。わかっていただけましたか?」
「うん・・・」
頷きながらもアコは不安げに俯く。
そんなアコの様子をみて、ツェリライも優しくフォローする。
「大丈夫ですよ。アコさんが恐れていることが起きないように防ぐためにも、これは必要なものですし。」
「え?」
「さきほど言いましたが、これは持ち主の孔を制御し、安定して運用させるもの。つまり武器というよりは道具に近いものです。これを使用することで、操者の孔の暴走を抑え、より効率的に孔を扱えるようになるんです。」
「へぇ〜。」
感心するアコに、ツェリライがロッドを手渡した。
「これを持って、少し孔を込めてみてください。」
言われるがままに手に持ち、少し孔を込める。すると、先端の玉が小さく光った。
「インプット完了ですね。これでそのロッドは、アコさんだけのものになり、アコさんしか扱うことができなくなりました。」
「へぇ〜〜〜〜。」
感心しながら手に持っている杖を眺めるアコ。突然こんなものを手渡され、それが自分の武器だと言われても戸惑うばかりだったが、こうやって自分のものとはっきり決まると、愛着がわくというものである。
「じゃあ、名前はなんにしよっかな〜。ツェルのネーミングはつまんないし〜。レックはあてになんなさそうだから、あたしが考えなくちゃいけないわね〜。」
早くも浮かれてどっか行ってしまっている。
そんなアコを、隣で勝手にネーミングセンスがないと決めつけられて若干凹んでいるレックをよそに、ツェリライが連れ戻した。
「こらこら、説明は終わってませんよ。」
「まだなんかあるの?」
「はい、あります。まず、それを使用したからと言って、簡単に孔を操れるようになるわけではないということです。」
「それってつまり、使いこなしたければ練習しろってこと?」
「ええ、そういうことです。」
「でもあたし、昔は結構うまく使えてたわよ?」
確かにアコは、あの事件前まではきちんと使いこなせるように日々練習をしていたのだ。
「そうですね。しかしそれは、そういった道具を使用しない程度の規模の孔です。今後アコさんが一人で敵と対峙したとき、その敵を一人で倒せるまでの孔を使うことになると話は変わってきます。
恐らくアコさんは、間違いなく知らないでしょうから説明しますが、そもそも孔で操る属性というものは、それを生み出しているわけではなく、あくまで操っているだけだということです。」
「・・・・・?」
訳がわからないよ。とばかりの表情を浮かべるアコを見て、型通りの説明をしてしまった自分に心中で説教をしながら、ツェリライは根気強く説明を続ける。
「例えば先日のあの戦闘ですが、アコさんはあの時電撃であの男を攻撃しましたよね?」
「うん。そうね。」