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魔法少女リリカルウィッチーズvol.5

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エピローグ


首都クラナガン解放。このニュースはすぐに、ミッドチルダ全域に届いた。
人々はネウロイの脅威からこの世界を救ってくれた英雄達に多大な感謝を述べ、1週間程が過ぎていた。
ミッドチルダに臨時に開かれたこの病院にも、そんな英雄の何名かが入院していた。
「まったく…あれほど無茶しちゃダメって念を押していたのに。また後遺症がひどくなるじゃない」
「にゃはは…ごめんなさい」
「笑い事じゃないの。もう…謝って済めばいいけど、あなたが思う異常に身体に負担がかかってるって忘れないでね」
英雄の一人、高町なのははシャマルから説教を受けていた。世界を救った英雄も、医者の前では形無しである。
「レイジングハートにも、無理させちゃいました」
「そうよ。あなたが無茶すれば、レイジングハートも傷付くんだから。それも忘れないでね」
「はい」
「とはいえ、なのはちゃん達のおかげで世界が救われたのも事実。ありがとう」
「やるべきことをやっただけですよ」
と、
「ママー!」
元気な少女の声…最愛の娘、ヴィヴィオがお見舞いに来た。
「ヴィヴィオ!」
娘を抱き留めるなのは。遅れて初老の女性、エスメラルダが病室に入ってくる。
「エスメラルダさん。ヴィヴィオのこと、ありがとうございました」
「前にも言ったでしょ。気にすることないって」
「それでも、ヴィヴィオを一人にさせずに済みました」
「高町さん達のおかげで世界が救われたんだ。お礼を言うのはこっちさね」
「ママー、お仕事はもうおしまい?」
「うん。大きなお仕事は終わったよ。だから、これからはまたヴィヴィオといられるよ」
「ほんと?やったー!」
無邪気にはしゃぐヴィヴィオ。
「ねーねー、フェイトママにも会いたい!」
「ふふ、じゃあ呼ぼっか?」
「うん!」
こうして家族の幸せな一時が過ぎていった。

なのは達が長閑な一時を過ごしている一方で、管理局本部では事件が発生していた。といっても、ごく小さなものである。
「結果的に世界は救われましたな」
「うむ。だが、八神…。あのような小娘一人に、これからの主導権は握らせんぞ」
こうなってまで己の地位や名誉だけを守ろうとする愚かな人間達が、ここにいた。はやてや異世界からの来訪者を良しとしない、例の高官達だ。
「残念だが、それは不可能だ」
そう言って入室したのはクロノ・ハラオウン。
「これはハラオウン提督。どうされましたかな?」
「どうしたも何もない。貴様達の掲げる野望は絶対に実現しないと伝えに来ただけだ」
「何を馬鹿な…。ああ、この間の会議の件ですかな?あんなこと、冗談に決まっているでしょう」
「白を切っても無駄だ。こっちには証拠があり、証人もいる」
「証拠?ならばお聞かせ願おうではありませんか」
「ああ。これだ」
そう言ってクロノは、録音機器を取り出す。そこには…。
「ば、馬鹿な!?あの計画を話した時、貴様はあの場にいなかったろう!?」
明らかに取り乱す高官。
「ああ。確かにいなかった。だが…」
クロノが言うと、また一人の男が入室する。それは、以前クロノが参加した会議で彼のことを見た男だった。
「貴様…裏切ったのか!」
「私は馬鹿だったよ。自分の浅はかな考えで、大勢の人間を不幸にするところだった。クロノ提督が参加した会議の後、彼と個人的に話してね。その時、その録音機器を渡されたのだ。決定的な証拠を掴んでくれ、とね」
「ちぃっ…!」
舌打ちする高官。
「こうなったら仕方ない。おい!」
高官の一人が叫ぶと、高官達が雇ったのであろう幾人かの傭兵が姿を現す。
「貴様達をここで消せば問題ないという訳だ」
「やはりな…。そう来ると思っていたよ」
クロノはこの事態を予見していたようで、そう呟く。
「ではこちらも、援軍を呼ぶとしよう」
クロノが言うと天井から一人の女性が降りてきた。
「聖王教会所属、シャッハ・ヌエラ。推して参る!」
「たった一人。それも女とはな!おい、お前らラッキーだぜ。捕らえれば…なぁ?」
一人の傭兵が下卑た笑いを浮かべながら言うと、周りの傭兵達も盛り上がる。
「ご心配なく。あなた方に負かされていては、武闘派シスターの名折れですので」
挑発するように言うシャッハ。
「ええい、やってしまえ!」
高官の一言で傭兵達が襲いかかる。

数分後。

そこには横たわる傭兵達の姿があった。
ちなみに高官達は全員、地位を剥奪され、クロノに協力した高官も、後に自ら管理局を辞職したそうな。

さて、世界を救ったセイバーズは役目を終えて解散となった。異世界から訪れ、ここに所属していたウィッチーズ。彼女達が今どうしているのか。少し語ろう。

「ミーナ、入るぞ」
美緒が一声かけてミーナの部屋に入る。
「美緒…あれから進展はあった?」
「いいや…全く見当つかずだ」
「そう…。元の世界、どうやったら帰れるのかしら」
「管理局が総力を挙げて手掛かりを探してくれてはいるが…芳しい状況ではないな」
彼女達は未だ、帰る方法を見出だせずにいた。
「私達がいなくなってからのロマーニャがどうなっているのか…気になるわね」
「ああ。504がいるとはいえ、戦力が完全ではないからな…」
「それに…」
「…宮藤のことか」
ミーナの視線を感じて美緒が言う。
「あれは完全に私の失策だ。やはり烈風丸は渡すべきではなかった…!そのせいで、宮藤は…」
「宮藤さんは、今どうしてるの?」
「変わらず病室で塞ぎこんでいる。魔力が回復する様子も無い…」
美緒はふぅ、と一息ついて、
「皆の前を飛ぶあいつの姿を、一目見てみたかったよ」
悔しそうに呟いた。

美緒とミーナ。二人の会話に出た宮藤芳佳は、美緒が言っていた通り病室のベッドに体育座りで座ってうずくまっていた。
「…」
扉がノックされる。
「芳佳ちゃん、入るね」
そう言ってリーネとペリーヌが入室する。
「具合はどう?」
リーネが話しかける。
「…」
黙っている芳佳。もう1週間経つというのに、未だこんな状態だった。
「…あ、あのね。今日は復興作業のお手伝いをしてから、子供達と一緒に遊んできたんだよ。芳佳ちゃんも、早く元気になって一緒に行こうよ!」
「…」
「…」
芳佳の沈黙に、リーネも困って黙ってしまう。
「…宮藤さん、いつまでそうしているつもりですの?」
痺れを切らしたペリーヌが喋り出す。
「いつまでもいつまでもウジウジして…私達をヒヤヒヤさせたあの無鉄砲さ加減はどこへ行ったんですの?」
「だいたい、少佐の言いつけを無視して二回も烈風斬を使ったというじゃありませんの。自業自得なところもありましてよ!」
「ぺ、ペリーヌさん…ちょっと言い過ぎじゃ…」
「いいえ、言わせていただきますわ。いいですこと、宮藤さん。……」
ペリーヌは少し間を置いて、
「魔力を失ったからと言って、あなたの全てが失われるわけではないんですのよ。魔力を失ったなら失ったなりに、何か出来ることを探せばいいじゃありませんの。どうして、それが…そんな簡単なことが…出来ないんですの?ネウロイの巣を破壊してしまうようなあなたが、どうして…」
言いながら涙を浮かべはじめるペリーヌ。そんな彼女を、リーネがそっと支えてあげる。
「芳佳ちゃん、ペリーヌさんも心配してるから…その、早く元気になってね」