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魔法少女リリカルウィッチーズvol.5

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16th MISSION


「見て!」
誰かわからないが口を開いた。その言葉に反応した皆がゆりかごネウロイを見る。
「ネウロイ化が解けていく…!」
「ということは…!」
「芳佳ちゃん…!」
「なのは…無事に破壊出来たみたいだね」
巨大人型ネウロイを含む全てのネウロイが動きを止めて砕けていく中、勝利を確信した一同は口々に騒ぎだす。
「まだや。まだ終わってへんよ」
皆を制するようにはやてが言う。
「終わってないって、どーゆーこと?」
ルッキーニが訊く。
「聖王のゆりかご。あれが市街地に墜ちたらとんでもない被害が出てまう」
「そうね。八神二佐の言うとおりだわ」
はやての意見にミーナも同意する。
「せやから皆で協力して、あれをせめて海に墜ちるようにするで。ええな?」
「しかし、あの質量を動かすとなると…」
どうするんだ、といった風にバルクホルンが言う。
「そのための準備は、もうしてあるんよ。キャロ」
はやてはキャロに通信を入れる。
「はい」
「準備はええ?」
「バッチリです。それと、ルーちゃんも回復してもう一回白天王を召喚するって言ってました」
「ほんまか、それは心強いなぁ。ほな、二人で同時にいってみよか」
はやての通信の後、まず白天王が召喚される。続いて、
「天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠(とわ)の護り手、我が元に来(こ)よ、黒き炎の大地の守護者。竜騎招来、天地轟鳴、来よ、ヴォルテール!」
キャロの詠唱後に巨大な竜が召喚された。サイズはルーテシアの白天王と同等である。
「これで準備完了や。あとは突入班が出てくるのを待つだけやね」

「なのは、無事かー?」
「ヴィータちゃん…うん、大丈夫だよ」
ヴィータとなのはは合流を果たした。
「フラフラじゃねーか。また無茶したな?」
「にゃはは…ちょっとね」
苦笑いしつつなのはが答える。
「さってと…あとは脱出するだけだな」
「うん…」
「どうした?」
「ん…ううん、何でも」
「そういや、あっちは大丈夫なのか?」
「…多分」
「多分って、何だよ?」
「それは…」
「通信出来てんだろ?なら、無事かどうかくらいすぐわかるじゃねーか」
「…実はね、通信が出来ないの」
「はぁ?何だそりゃ」
「コアを破壊する前までは、普通に通信出来たんだけど…」
「ちっ…なら、迎えに行ってやるか。急がねーと、ゆりかごが墜ちちまう」
「そうだね」
二人は艦橋を目指す。

「ん…ぅう…」
呻き声を上げたのは芳佳だった。
「宮藤!気がついたか」
「エイラさん…私…?」
「コアを壊した後、気付いたら三人ともここで倒れてたんだ」
「サーニャちゃんは?」
「まだ気を失ってる」
芳佳は起き上がり、辺りを見る。
「ここ…艦橋じゃないですね」
「ああ。衝撃で飛ばされたのかもしれないな」
「ん…」
「サーニャちゃん!」
「サーニャ!」
「エイラ、芳佳ちゃん…」
「大丈夫か?どこも痛くないか?」
「うん、大丈…っ!」
顔をしかめるサーニャ。見れば、足首が腫れていた。
「捻挫だね。待ってて、すぐに治すから」
そう言って芳佳はサーニャの近くに来て患部に手をかざす。
「あれ…?」
しかし。
「おい宮藤。どうしたんだ?」
「んんーーーっ!」
気張ってみる。が、
「芳佳ちゃん、もしかして…」
それが頭でわかっても、受け入れたくはなかった。
「待って。待ってね。すぐに治すから…!」
焦る。これが、美緒の言いつけを破った代償なのか。
何度も、何度も、治療を試みる芳佳。
「…もういいよ。ありがとう、芳佳ちゃん」
しかし何度やっても魔力が出ることは無く、芳佳は力なくその場に座り込んだ。
「そんな…本当に、魔力が…」
魔力が無くなるかも知れない。それはわかっていた。そして世界を救えるなら、それも本望だとも言った。けれども、心のどこかで大丈夫なんじゃないかと思ってもいた。現実を突きつけられ、芳佳はひどく落ち込んでいた。
「宮藤…その、あんま気にすんなって。今は疲れてて魔力がすっからかんなだけかも知んないだろー?」
エイラが気を遣って言葉をかける。
「でも。もう元の世界に戻っても皆と一緒に戦えないかも知れないんですよ…?」
そんなの嫌だと言わんばかりに芳佳はエイラを見る。その瞳には涙が浮かんでいた。
「宮藤…」
エイラも、サーニャも、言葉を失ってしまう。重い沈黙が流れた。
「どうしよう…私、どうしたら…」
「まずは落ち着こう、芳佳ちゃん」
サーニャが言う。
「うん…」
頷くと芳佳は、それきり黙ってしまった。
「とりあえず、まずは脱出だな。宮藤とサーニャ、それからストライカーを二つ抱えて飛ぶなんて装備を棄てたって無理だぞ」
エイラが頭を抱える。
「救助信号、出してみる?」
「ああ」
サーニャは魔導針を出すと信号を飛ばす。
「…ダメ。通信できない」
「何だって?」
「通信がダメとなると…なのはさん達を待たなきゃ」
「でもここ、艦橋じゃないんだぞ?わかるかな」
「それは…」
三人を絶望感がひしひしと覆っていった。

「…いないな」
「うん。どこに行ったんだろう?」
なのはとヴィータは艦橋に到着したものの、三人を見つけられずにいた。
「手分けして捜すか」
「待って」
なのはは探索魔法を発動して、艦橋から各所を捜索する。
「実際、飛ぶのもギリギリだからヴィータちゃんがいてくれないと困るの」
「また使ったのか、あれ?」
「うん。ブラスターモードの2段階目までリリースしちゃった」
「お前…まだJS事件の時の後遺症だって残ってるんだろ?シャマルに怒られるぞ」
「けど、ああでもしないと巣のコアの破壊なんて出来そうもなかったから…あ」
「見付けたのか!?」
「うん。ゆりかごの最下層だね」
「ここからずっと下か。なのは、カートリッジは残ってるか?」
「少しなら…。どうするの?」
「アイゼンで一番下までぶち抜く。時間がねえからな」
「無茶苦茶だね」
「お前だって無茶苦茶やるだろーが。さっさとカートリッジ寄越せ」
ヴィータはなのはから半ば強引にカートリッジを貰って、それをグラーフアイゼンにロードする。
「アイゼン、フォルムフィーア!」
[ツェアシュテールングスフォルム]
ギガントハンマーにドリルとブースターが付いた形態へと変化するグラーフアイゼン。
「おおおおおおぉっ!!」
それを振り上げ、床へ叩き付ける。すぐに床にヒビが入り、下の階層、その下の階層と床をぶち破っていく。

やがて、最下層に辿り着いた。

「今の音…何だ!?」
「ここの外からみたい…。なのはさん達が来てくれたのかも」
三人のいる場所へやってくるなのはとヴィータ。
「三人とも無事か!?」
「私は大丈夫だ。ただ、サーニャと宮藤が…」
「サーニャちゃんは捻挫したんだね。芳佳ちゃんは…?」
なのはが隅の方で縮こまっている芳佳を見る。
「宮藤は、その…」
言いづらそうにするエイラ。
「早く言え。時間が無いんだ」
ヴィータが急かす。
「魔力を、失ったみたいなんだ…」
「えっ」
「マジかよ…」
「烈風斬、一回使っただけじゃなかったの?」
「コアを壊す前に、障害物の壁を壊すのに一回使ったんだ」
「それじゃあ…」
「宮藤は、もう飛べないかも知れないってことか…」
「なのはさんも、何だか疲れてませんか…?」