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タマ与太郎
タマ与太郎
novelistID. 38084
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Tadの「なんちゃって留学記」 2008.6.29~7.14

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Sightseeing


そもそも観光目的ではなかったが、せっかくカナダまで来たのだから、
どこか一箇所くらいは見て帰ろうかと学校のスタッフにお奨めのスポットを聞いてみる。
時間もお金もあまりないと話したところ、スタッフが教えてくれたのが、
「カプラノ サスペンションブリッジ」。

ダウンタウンからフェリーでノースバンクーバーに渡り、
そこからさらにバスで20分くらい走ったところにある自然に囲まれた観光地だ。
名前のとおり、大きなつり橋を中心に、ワイルドな雰囲気の遊歩道、
この地の歴史を示すパネルの展示、古い衣装をまとった人たちによる音楽演奏、
お土産売り場など、ほどほどに飽きさせない構成となっている。

高所恐怖症のTadではあったが、ここまで来てその橋を渡らない手はない。
目もくらむような高さに位置する橋の下には、渓流と呼ぶには少々荒々しい川が流れる。
右手にビデオカメラ、左手は橋の手すりをしっかり握り(おまけに汗まで握り)、
前後左右に揺れるその橋をへっぴり腰で渡るTad。
なんとも頼りない姿である。

「おい、揺らすなよ!」と周りの客に日本語で叫んだところで伝わるわけがない。
小学生くらいの少年たちが、わざと橋を揺らしながら面白がって歩いてゆく。

「だから揺らすなっつうの!!」

求めもしないスリルを味わったあとは、昼食のハンバーガーとビールを味わう。
日陰の心地良い席は全て埋まっており、
やむなく直射日光ガンガンの席に座る。
「暑ち〜」と汗を拭きながら飲むビールも悪くない。

お土産売り場で家族と友人にお土産を買ってから帰りのバスに乗り込む。
フェリー乗り場に到着すると、なにやら騒がしい声がするので近づいてみる。
なんとカラオケ大会をやってるではないか。
歌われているのはビートルズ、ジョン・デンバーなどの有名な曲ばかり。
洋楽カラオケをこよなく愛するTadにとってこれ以上のイベントはない。

「でも歌詞がわかんなきゃさすがに歌えないよな」

はやる気持ちを抑えつつ、やむなく帰路につくその男の背中は哀しい。