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君の温かさを知る

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あーさむっ
すんげー寒い
この真冬に人を待たせるなんて馬鹿極まりないよな、うん全くだ
死にそうだ

この俺が、初めてのデートとかで意気込んで来たのに
昨日の夜も眠れなかったり
なんていう乙女だよとか自分でも突っ込んでみたり
遅れると悪いから早めに出て来たのに
よりにも寄ってこのクソ寒い中手袋を忘れるとかマジでない


待たせるって言うかおれが1時間も前から来るのが悪いって言うのは棚に上げて置く
予定の時間まであと20分はある
つまり、このクソ寒い中40分は待っていると言うことだ。


やべー、寒い、厚着してきたつもりなのに寒い
鼻水でてきたし、まじカッコ悪い
今の俺の顔最悪なんだろうな、昔から寒いと鼻の頭赤くなるし
うわ、手真っ赤だよーもう感覚無いし
息吹きかけても無駄だなこりゃ
ほんと今日ついてない



と思ったら遠くに頭一つ抜けた奴の姿発見
早くこーいとその姿を見つめていたらこっちに気付いたようだ
慌てて走ってくるのが面白い


「ごめ、ん、ま、った?」

息切らせながら話しかけてきた
急いできたのがちょっと嬉しいなんて絶対言わない

「そんな待ってない」

嘘、結構待った、恥ずかしいから言うもんか

「嘘でしょ?鼻の頭赤くなってる、ごめんね、僕も早く来たつもりだったんだけど」

「待ってないし、まだ予定の時間じゃないし、俺が早く来すぎただけだ」

「強がってさー、かなり待ったでしょ?寒かったのに」

「寒くないし…」

強がってないし…

「嘘吐き、手も真っ赤じゃん、うっわ!冷たい!手袋は?」

「忘れた」

デートに舞い上がりすぎて忘れましたなんて言えるかよ

「じゃあ、僕の貸してあげるね?」

「いや、いーよお前の方が寒くなるじゃん、無くても平気だし」

「だーめ!こんな真っ赤な手をして言う台詞じゃないでしょ?ほら手だして?」

「いやだ、俺は平気だ!」

「意地っ張りなんだから、じゃあ片方づつは?それならいいでしょ?」

「でも…」

「ほら、これ、して!」

「…」

「早く!」

凄い剣幕だ…受け取んないとマジギレしそうだ
こいつこういうときは強いんだよな

「じゃ、じゃあ…貸して」

「うむ、よろしい」

うわー超左手温かい

「でもお前左手寒いんじゃない?」

「え?だったら君の右手寒いでしょ?」

「ま、まあ」

確かに、寒い

「昔TVでやってたんだけどさ―、こうやって…」

俺の右手掴んで何する気だ?

「こうやって」

恋人つなぎってやつか?

「うお、恥ずいから止めろ!」

「まあ、まあ」

まあ、まあっておい!ここは公共の場でだな!

「繋いだ手を…、こうやって僕のポッケに入れれば、あったかいでしょ?」

「!」

「こうすれば周りの目も気に何ないし全く問題ないよ」

「…」

「ほんと君の手冷たいね、どれくらい待ったの?」

「…40分くらい」

「40分!この真冬に40分も待ってたの!?どこかお店に入ってたら良かったのに!」

「…」

お前の姿早く見たかったんだ
逢いたかったんだよ…悪いか、馬鹿

「まあ、いいや今度から僕ももっと早めに来るようにするよー、さ!ご飯食べに行こう寒かったでしょ?温かいもの食べよ?」

「…うん」













君の温かさを知る


手袋忘れてきてよかったなんて
思う俺はこいつにべた惚れなんだ















お題元 確かに恋だった








作品名:君の温かさを知る 作家名:たなか