小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

濃霧の向こう側に手を伸ばして

INDEX|14ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 

 その体勢のまま、彼女は寝息を立て始めたので、俺は抱きしめる力を少し緩めてやった。腕枕なんて久しぶりで、寒い部屋の中で指先は凍えそうだったから、俺はスッと彼女の首から手を抜き出し、布団にしまった。それでも片腕は彼女を抱いたまま、眠りについた。俺と同じシャンプーを使っているはずなのに、彼女は俺とは違う、女らしい香りがした。

 その日以降、布団は押し入れにしまう事になった。シングルサイズの、俺一人でも狭いぐらいのベッドで、二人で寝ていた方が、彼女は空虚な感情にとらわれずに済むと言う。