小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

おまもり

INDEX|1ページ/1ページ|

 
世の中には、わたしを守ってくれるものがたくさんある。

たとえば、イヤフォン。イヤフォンをつけている間は、外の世界の音が遠く聞こえるようになる。わたしは聞きたくないことを聞かなくてよくなるし、聞いてしまったという時には、聞こえなかったふりをすることもできる。

人間の1番強いところは声で、1番弱いところは耳だ。そのふたつはひどく相性が悪い。耳は常に開いているのだし。

サングラスも、わたしを守ってくれるもののひとつだ。眩しすぎる日射しや光を、安全な、思いやりに満ちたやり方で、わたしの目にそれが届くまでに遮断してくれる。

リップクリームも、ハンドクリームも、言ってしまえば洋服さえも下着さえも。
裸のわたしを守ってくれる、数少ないものたち。それらはなくても困るものではない。でも、あるべきものものなのだ。

つまりわたしは守られていたいのだ。裸で1人は不安なのだ。だからものものを身につけ、飾り、守ってもらおうとしている。
ある意味で、とても惨めで淋しい行為だ。
作品名:おまもり 作家名:夕顔