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七ケ島 鏡一
七ケ島 鏡一
novelistID. 44756
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グランボルカ戦記 2 御前試合

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3 御前試合


3 御前試合

 ジュロメでの戦いの後、そのままジュロメの守備に残ったヘクトール達を置いて、クロエとレオと三人でアミサガンに戻ってきていたエドが非番のソフィアと連れ立って港を散歩していると、沖のほうから船が入港してくるのが目に入った。
「今回は随分大きな船だね。」
 まだまだかなり沖のほうを航行しているにもかかわらず、港に停泊しているどの船よりも大きな船影を誇る帆船を見てエドが感嘆の声を上げた。
 最近入港してくる船の例に洩れず、あの船もおそらくはまたアレクシスの手配した物資を運んできたのだろう。
「セロトニア武器商会か・・・セロトニアって国民の殆どが職人の国だよね。確か元首を置かない議会制の国だって・・・」
 帆船のマストに書かれたエンブレムと、その下に書かれた「セロトニア武器商会」と書かれた文字を見たエドがそうつぶやいてソフィアのほうを見ると、ソフィアが真っ青な顔をして、ぶるぶると震えていた。
「どうしたのソフィア。顔色が悪いけど、体調悪いの?大丈夫?」
「う・・・ううん。べ、別にどこか具合悪いとかじゃないんだけど、なんて言うか・・・えっと・・・わたしちょっと用事思い出しちゃった。しばらくお城には帰らないから。ジゼルちゃんには上手く言っておいてほしいな。・・・なんて。」
 明らかに挙動不審なソフィアの様子に、エドが訝しげな視線を送る。
「んと・・・どういうこと?」
「え?どういうってどういうこと?」
「いや、明らかに様子がおかしいもの。一体どうしたのソフィア。」
「ど、どうもしないよぉ・・・あはは。嫌だなあ、エドったら。わたしが変なのはいつものことだよぉ。」
「・・・何か隠しているでしょう。」
「か、隠してないよ!」
 ソフィアはそう言ってブンブンと手を振って否定するが、その仕草がエドの中の疑念を決定的なものにさせた。
「嘘だ。絶対何か隠し事してる」
 疑念の目を向けながらエドが顔を寄せたところで、ソフィアが隠し事をしていることを認めた。
「うう・・・ねえ、お願いエド。訳は後で話すからここは見逃して!あと、上手く皆に言い訳しておいて。」
 そう言って顔の前で手をあわせて拝むように頼むソフィアの様子を見たエドは何かただならない物を感じて、ソフィアの頼みを引き受ける事にした。・・・結果的には、引き受けてもしなくても変わらなかったわけだが。