小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

透明なクラゲ

INDEX|1ページ/1ページ|

 



太平洋の大きな海原を、透明なクラゲがプカプカ、プカプカ漂っています。

波の凪いだ穏やかな日にも、嵐に狂った波の日にも、透明なクラゲはプカプカ、プカプカただ漂っています。

 遠路はるばるやってきた、傷だらけの大きなウミガメに、手足をガブガブガブガブかじられながらも、透明なクラゲはプカプカ、プカプカ漂っています。

 何度も何度も、大空を昇り降りした太陽と月が、あきれ顔で問いかけます。
「お前はいったい、何のために漂うのか?」
 それでも透明なクラゲは静かに微笑みながら、プカプカ、プカプカただ漂っています。

 やがてとうとう太平洋の大きな海原で、透明なクラゲは命を終えて静かに死んでいきました。
 そうしてしばらくプカプカ、プカプカ波間を漂い、ついには見えなくなりました。
作品名:透明なクラゲ 作家名:池田虫二