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文が痛い

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カズ



 朝晩涼しくなった気がする。どこかで虫の音が……。
 夏は残業が少ないので、明るいうちに退社。結局パチンコかジャズ喫茶ということになってしまう。アパートに帰ると、すぐにステレオのスイッチを入れて、FM。別に聴くものが無い時はレコード。涼しくなってくると人恋しい気分になる。俺には今、家庭がない。けれど記憶の中にはある。マコは反対だね。現実にあるのに記憶にない。けれど現実の家庭は……。でも、どうなんだろう。お母さんは態度に出なくても、娘はかわいいと思っているんじゃないかな。

 マコは色々な試練を経験してるんだなあ。もちろんしなくてもいい経験が多いと思うけどね。大変だねえ、と俺が言っても何の慰めにもならないと思うけど。
 今日、会社に下請けの人がきていて社長に頼み事をしていた。そこは夫婦でやっているんだが、よくケンカをしては、仲裁を頼みにくる。子供なんだね。精神年齢が、俺より二十ぐらい年上なんだがね。

 おかしいのは、仲裁をする社長夫婦もね、たまにケンカをして、その精神年齢の低い下請けの夫婦のところに相談を持って行くことなんだ。あ、大人っていっても歳を重ねるごとに成長して行くものではないんだなあと思ったよ。
 俺はまだ結婚するということがピンとこないんだけど、俺もまだ精神年齢が子供なのかなあ。同じ歳の女性はかなり現実的なんだろうねえ。マコはオトナかな。

 結局ジャズ喫茶で聴いたミンガスの直立猿人買いました。毎日聴いています。印象的なサックスはジャッキーマクリーンだし、ピアノがマルウォルドロン。レフトアローンのメンバーだね。いいねえ。ハイチ人戦闘の歌もいい。
 でもさ、最初に買ったレコードはフォーククルセーダーズの「帰ってきたよっぱらい」だよ。笑っちゃうね。ニニロッソのトランペットも良く聴いたなあ。高校卒業して田舎から東京へ出てきて、小さなステレオ買ってさ。ビージーズの「マサチューセッツ」もその頃。ビートルズも流行っていたけど、友達のところで聴くだけで買わなかった。

 あれ、だんだん書く事がでてきたぞ。
 絵描きを目指している友達がいて、そいつと徹夜でトランプゲームしたこともあったなあ。芸術論というわけでは無いが、俺が「音楽家は人を楽しませるために曲を作る」と言ったら、彼は絵画はそんな気持ちでは描いてない。そんなものは芸術じゃないと言うんだ。じゃあ、独りよがりで描いてるんだと言ったら、そんな上っ面なもんじゃないという。おまえには分からないとか言い合いながらねえ。えらいこと言うわりに たいしたもの描いてなくてねえ。最近逢ってないなあ。どうしただろう。

 でも、希望があるからいいよ。俺なんか何も目標がなくて、ガールフレンドか恋人が欲しいなあと漠然と思っているだけで、仕事はちゃんとするが、あとはパチンコをしてだらだらと過ごしているんだものなあ。ジャズの評論家にでもなるつもりで頑張ってジャズ聴こうかな。なんて、腰の据わらん夢を持ったりして。うーん、もう少し時間をください。まだ、将来は何も見えません。というところかな。
 ちょっと長くなったかなあ、今日はこの辺で。

作品名:文が痛い 作家名:伊達梁川