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老いを見つめると。

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優しさって何をさすのだろう

鬱陶しくて煩わしくて面倒・・・父親に抱いていた気持ち
50年もの間、共に暮らすことなくきていたのに、
老いが言わせたのか「共に暮らせたら・・・」と言う問いかけに、
簡単に頷いた

まだら認知の妄想は、尋常な人間には理解不能の言動が満ちていた
傷付き、うろたえ、哀しみにあふれ・・・
いつか後悔と不満の塊になってしまっていた


自分を守る術は、父を思い遣るよりも憂さを晴らす方向に動いていた
避ければ避けるほど、不快な言動がふりかかる悪循環

私にしか判らない意地悪も数多く

でも心は伝わる
悪意は相手に不快で届くのだろう
父の苛立ちの言動は果てを知らず私に大きく覆い被さる

冷静に日々の暮らしを客観視すると・・・
なんだ簡単じゃないか
僅かな怒声にキリキリしているのは私
そこから更に不快を募らせるのも私
お構いなく父は感情のままぶつけてくる

「お父さん」と言う暖かな感情が生まれてきたら、
84才、もたついて当然
意地張って若く在りたい情動の父を受け容れられるじゃないか
晦日に家庭的な行動が自然に出てきた
掃除・料理・・・淡々と家事をこなす
入れ歯に負担の無い料理・塩分控えた料理・気遣いができる自分に驚いて
晦日は暮れていった

適温の風呂の準備
ささやかだけれど、目に綺麗なオードブルをこしらえて
一杯のお湯割りの焼酎
蕎麦を茹で惣菜やで見繕ったえび天を添える

これを父は穏やかな顔で眺めていた

半年かかって判ったことがこれだったのか

思い遣りの欠けた娘に爺さんはどれだけ情け無い思いをしたのだろう
10年も生きてくれたら煩わしいけども・・・
親父には違い無い
いやでも悔しくてもコイツが親父
じゃぁこれで良いじゃないか・・・受け容れられる自分になった

2012年の収穫
サッパリと新しい年を迎える事ができる事が何より嬉しいじゃないか
自分の気持ちに忠実に生きてきた
だからこその葛藤だったのかも知れない

認知症の面白さを時々、爺さんから見せてもらおう
まともな時との変化の面白さは・・・
ニヤリとしてしまう

2012年は刻々と2013年へと歩みを進めている

私の寿命も冥途へと近付いていくんだけれど、愉快愉快♪
さて、悔いない人生を今からも生きるぞ
作品名:老いを見つめると。 作家名:ぱーる