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四神倶楽部物語

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 それは私の妹だと名乗る魔鈴からでした。迎えに来てくれていたのです。
「みなさん、グリーンスターへようこそ」
 魔鈴は私たちと再会して嬉しいのか、全員とハグして回りました。その後、私たちを気遣って、「宇宙貫通カプセルの旅、お疲れはございませんか? もしそうならば、何なりとおっしゃって下さいね」と。
 それに私は謝意を込めて、「カプセルの中は立派なホテルで、お陰様でゆっくり休ませてもらったよ。あんなの初めてだったよなあ」と返しました。

「お兄さん、なに言ってんのよ。みなさんもそうなんだけど、幼い頃に何回も乗ってるのよ」
 魔鈴のこんな話しに、そういえば、あの地球東京駅のお婆さんも同じことを言ってたなあと思い出しました。それで私は「ああ、そのようだね」と、ニコッと笑いで返しました。
 その後、魔鈴が「さあ、みなさん、まずはグリーンスターのホテルにチェックインしましょう」と踵を返し、先に立って歩き出しました。私たちはその後を誘導されるままに付い行くしかなかったです。

 森の中をくねくねと曲がった道を5分ほど歩いたでしょうか、切り開かれた広場に着きました。そこには黒塗りのクラシックカーが停まってました。それにキャリーバックを積み込んで、さあ出掛けようとした時のことでした。
「ギャー!」
 ミッキッコの悲鳴が森に響き渡りました。
 その声に私たちは驚き、叫びの方向を見てみると、――「うわっ!」。私たちも腰が抜けそうになりました。なぜなら、その先にいたのですよ。
 大きさは3、4メートルはあるでしょうか、大きな虎が牙を剥き出しにして、こちらを睨んでいるではありませんか。私たちは恐ろしくって、震え上がりました。

「大丈夫よ、あの子は噛まないから」
 あたふたとしている私たちに、魔鈴は落ち着いた口調で、噛まないって、そんなことを言うのですよ。さらに、事もあろうか「こっちへおいで」と虎に手招きをします。まさに驚愕(きょうがく)。
 だけど虎はそれに応えるように、のっそのっそと魔鈴の所までやって来ました。

「たまちゃん、良い子だね、可愛いよ。こちらは地球からのお客さんたち、ヨロチクね」魔鈴は大虎に話し掛けながら、喉の辺りを摩(さす)ってやってます。それはまるで猫のよう。その上に、その虎が、たまげたことに、気持ち良さそうにニッと笑ったのですよ。


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊