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四神倶楽部物語

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 なあ龍斗、俺のハラハラする物語、面白かったろう。それにしても、禁断の扉って興味をそそられるよな。お前のネット通販のロイヤルクラブに、『禁断の扉』っていうコーナーを設けたら、そこからどんな商品が飛び出してくるのかな? って、ワクワクして、人気出ると思うよ。

 これが、お前と久し振りに会って、これからの我々の人生が波瀾万丈でなく、順風満帆に行きますようにと願っての――俺からのサジェスチョンだよ。やっぱり持つべき者は、ホント、友達なんだよなあ。

 槇澤はこんなご託を勝手に並べて、話しを締めくくったのです。それから私は頭を冷やし、あとは他愛もない世間話をしました。

 それでも槇澤は別れ際に、ちょっと気になることを――、「龍斗、俺はお前のアパートには絶対に行かないからな。よろしくね」と、モゴモゴと口籠もりながら……。それから夜の闇の中へと消えて行きました。

 まあそれでも、私は友人の槇澤良樹と再会でき、楽しい一時が持てたものですから、気分良くアパートに帰りました。そして酔いもあったのか、さっとシャワーをして、すぐにベッドに潜り込みました。その後は即死のような状態で、寝入ってしまったわけです。それからどれくらい眠ったでしょうかね、物音で目を覚ましました。

 コンコン、……、コンコン。
 それは壁を叩く音。私はこんな夜更けに何だろうかと思い、電気をつけ、音がする方へと近付いて行きました。
「あっ!」私は自分の目を疑いました。なんと壁に、いつの間にか扉が貼り付いているではありませんか。しかも、その扉には古代蝶鳥の模様が入っています。

 コンコン、……、コンコン。その扉のノックが止まりません。明らか隣の住人か、それとも誰かが扉の向こうからノックしてきているようです。私は思わず、「どうされましたか?」と訊いてしまいました。すると、信じられないほどの甘い声で、返事が返ってきたのです。
「ね〜え、イケメンの龍斗さん。いいことあるから、ここをちょっと、開けて下さらない?」

 私は、槇澤が妄想だよと言っていた作り話しを思い出しました。しかし、実際にこんなこともあるものなのかと戸惑ってしまいました。だけども、また妖艶な囁きが……。
「ねえ、いいことあるから、ここをちょっと開けて、こちらのお部屋に来てちょうだい」


作品名:四神倶楽部物語 作家名:鮎風 遊