小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

母へ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
俺が産まれたのは、梅雨時だというのに晴天続きの
暑い日だったらしい

病院の窓から、いつも青空が見えたって
母さん言ってたな

小さくて、隣に寝ている赤ん坊の
半分くらいの大きさしか無いんじゃないかって
思ったって聞かされた

裕福でも貧乏でも無かったけど
母さんは毎日必死で働いてた

俺は直ぐに鍵っ子になって
友達を連れて来て、家の中を無茶苦茶にして
よく叱られたっけ


そんな小さすぎる赤ん坊だった俺も
普通に成長して

違う意味でも成長した

友達とつるんで、悪い事をした事もあった
悪い事って言うレベルじゃなかったな

酒や煙草は当たり前
バイクを盗んで、無免許で乗り回したり
補導された事も何度もあって
お巡りさんとは、母さん共々顔見知りになっていた

何度も俺に、本気で

   死んでしまえ と怒鳴った事があったよね

明らかに俺の方が力が強いのに

   本気で殴りかかって来た事もあったよね

警察署で、思い切り蹴飛ばされて
お巡りさんが止めに入ったり

迎えに来たのに、置いて帰ろうとして
お巡りさんに説得された事

今思い出せば、笑い話だけど

その頃の母さんにとっては、笑い事じゃなかったよね

けど俺は、そんな事なんか気にもしてなかった

道路の真ん中で、近所の人に
土下座させた事もあったな・・・

生意気ばっか言って、無謀な事もやってたし
家を抜け出したり、夜中まで帰らなかったり
高校もクビになって、ふらふらしてたり

そんな馬鹿な俺だったけど
俺にとって母さんは
結構、おっかない存在だったんだ

もっと早く気付いていれば

そうじゃないな

そんな事があったから
めいっぱい迷惑かけたけど
今の俺になれたんだと思えるようになった


母さんは俺に言ってくれた
俺には周りの誰にも無い 宝物 があるんだって

俺にはちょっと、身体に不自由がある

それを母さんは

   お前を好きになってくれる人は
   お前のハンデを知った上で
   好きになってくれるんだ  と

   ハンデも込みで
   好きになってくれる人は
   素晴らしい人なんだ    と


その不自由さを理由に、嫌がらせされた事もあった
ちょっとばかし、母さんを恨んだ事もあった

けど、今は胸張って言える


     産んでくれてありがとう

大検 受けようと思うんだ
学校の先生になりたいんだ

なれるかどうか判らないけど
頑張って金貯めるよ

面と向かってなんて、気恥ずかしくて言えないけど



親孝行するなんて約束は出来ないけど
母さんに「自慢の息子」って言われる事を
俺の目標にしてみるよ

頑張って育ててくれた
母さんに恥じない大人になれるよう頑張るから


それを見届けるまでは

元気でいてくれよな







   
   

























作品名:母へ 作家名:fool