Ｒetour～再生～
陽光が作り出す光の輪の中に
今 私はゆっくりと佇む
冬とは思えない存外に力強い陽光に眩しさを感じながらも
私の行く手を照らすひとすじの光を 一本のはるかな道を
迷いなく見つめることができる
冬特有の清澄な空気が好きだ
身体の芯がしびれるように冷たいけれど
研ぎ澄まされた大気に 私の身体だけでなく心まで透明になってゆく
澄んだ水のような浄らかな大気が
心の奥底に降り積もった淀みをすべてきれいに洗い流してくれるのだ
人を信じることは簡単なようで難しく
人に裏切られることは容易い
一度信じている人に裏切られ
なお 人を信じようとすれば 苦しむのは自分自身だ
それでも 人を信じなければ何も生まれない
もう一度 人を信じることから始めよう
他人だけではなく 自分という人間や可能性という言葉を信じてみたい
素直に思わせてくれる何かが冬の早朝にはある
そう それが私の人生においての何度めかのささやかな始まり
－心が生まれ変わる瞬間－
作品名：Ｒetour～再生～ 作家名：東 めぐみ