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心の中の雨の音(詩集)

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夏の終わりに別れることになったキミへ



夕方の動物園は空いていて
パンダもしっかり見られた
キミと一緒にポプコーンを食べながら
ボクは満足していた
あれはバクだったっけ
白と黒の模様が
キミのファッションと同じで
可笑しくて笑ってしまった
夢見がちの性格だし
キミはバクかもしれないね

  人生は出会いと別れの繰り返し
  だけどキミが話してくれた
  その数が多すぎてあきれてしまったよ
  年表を作らないと覚えきれないね

動物園だけど花が咲いていて
キミがなんという花かと訊いた
でもキミは訊いたあと
蚊に刺されたと
大騒ぎしたから覚えてないだろうな
あれはムクゲの花だよ

  キミとボクは気が合ったね
  最初からずっと友達
  だって
  キミは思い通りにならない恋の話ばかり
  ボクも似たような状態だったしね

ゆっくりとした夏の陽が沈んで行く頃
トイレから出たボクはキミを見失う
それは
キミのボクへの思いのように思えてきて
立ちすくむしかなかった
夏なのに寒さも感じてしまった
だから
キミの声が聞こえてきてほっとしたよ

  キミは新しい恋人と一緒に住むことになったと
  それほど嬉しそうでなく教えてくれたので
  キミがいつもするように
  深すぎる情でダメにしてしまうということは
  今度は無いかなあと納得したんだ


今年の夏も終わりに近づいている
ムクゲの花ももう終わるだろう
一年間逢うこともなく過ごして
時々キミのことを思い出してはいたけれど
久しぶりのメールは彼と別れたという話

  流れ流されるキミの人生
  運命などということばを思い浮かべるが
  流されまいとしてしがみつく
  その草はあまりにもひ弱
  
のんびりと流れてゆこうか
もう下流で流れはゆるやか
いつか
大きな島にたどり着くかもしれない