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心の中の雨の音(詩集)

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捨てられた花に同情する君の声



「あ、きれいな花」
君がしゃがみ込んで土手の花を摘む
「ねぇ、これ何の花かな」
僕はその花を受取り一通り目を通すと
「う〜ん、分からない」
そしてポイと土手に捨てる

「んも〜」
君が怒る
「ンモー」
遠くで牛が鳴く
僕は可笑しくなって笑う
「何笑ってんのよ」
君は僕が捨てた花を拾って、ふくれっ面をする

「あ〜あ」
捨てられた花に同情する君の声
………僕の魂は一瞬のうちに過去に飛ぶ

   *             *

少女の君がしゃがみこんで花を摘む
兄弟が男ばかりだった僕は その姿に見とれてしまい
そして気恥ずかしさを覚える
僕は何かの木の葉っぱを一枚取ってくるくると丸める
片方を軽く指で潰し それを咥えて息を吐き出す
「ぷー」と間抜けな音が出た

「あ〜、面白い!」
君の声の方がずうっといい……
そう思いながら君を見る
きらきらと好奇心で光る君の目が眩しくて
その葉っぱの笛を捨てて
僕はまた別の葉っぱを探す

「ぷ〜〜」
僕は振り返って君を見る
僕の捨てた笛を吹いて得意そうな君がいた
君は片手に笛、
そしてもう一方に持った花を僕に差し出した
それを受け取った少年の僕は
嬉しいのにどうしていいか分からず
それを捨ててしまう


「あ〜あ」

捨てられた花に同情する君の声を
少し罪悪感も感じながら愛おしく聞く