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ゆらのと

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第二部 十四、


窓から明るい光が差しこんできている。
よく晴れているらしい。
正午にはもうしばらく時間があるが、外はきっと暑いだろう。
桂は冷房のよくきいた部屋にひとりでいた。
椅子に腰かけ、眼のまえの机に肘をついて、両方の手のひらを祈るように重ねて指を組み合わせている。
その右の親指を額に押しつける。
様々なことが頭に浮かんできて、不安が胸に重くのしかかり、気分は暗い。
新八と神楽は大丈夫だろうか。
心配だ。
彼らの近くには、宇宙海賊に正体がばれていない銀時がいる。
だから、それほどひどいめには合っていないだろう。
そう思うものの、だが、それは確実なことではないとも思う。
銀時は彼らを助けたくても助けられない状況にあるかもしれない。
宇宙海賊は新八と神楽を屋敷から遠く離れたところで始末するつもりでいる。
きっと銀時は新八と神楽が屋敷からつれだされるときについていくか、それとも、もうついていっただろう。
しかし、それも、やはり、確実なことではないのだ。
銀時は彼らを助けられるのだろうか。
あのふたりを助けてほしい。
強く願う。
そして。
自分の身のことを思った。
昨夜、あの男から明後日だと宣告された。
それが、今では、明日のことになっている。
刻々と迫ってきているのを感じる。
これまで自分があの男からされたことや、トアラから聞いた話を思い出す。
明日、自分はあの男に滅茶苦茶にされるだろう。
嫌だ。
避けられるものなら、避けたい。
けれども。
避けることはできそうにない。
嫌悪と不安で、胸の中が塗りつぶされる。
ふと。
窓硝子が叩かれる音がした。
桂はハッとして、顔をあげる。
さらに、床を蹴って椅子から立ちあがり、窓のほうへ早足で行く。
硝子の向こうにある姿を見て、胸に衝撃を感じた。
心をぎゅっとつかまれたような気がした。
窓を開ける。
そして。
「銀時」
その名を呼んだ。
作品名:ゆらのと 作家名:hujio