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エイユウの話 ~秋~

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「じゃあ、関係者席に連れてってやろう」
「関係者席ですか?」
 アウリーは出場者三名の友人ではあるが、関係者ではない。それなのに関係者席に座ってもいいものかどうか。この疑問はごく自然なもののはずだが、ノーマンは三人が誰もまだ戦っていないことを教えながら、平然と関係者席まで連れて行ってくれた。
 関係者席に行くと、法師を雇う企業のスカウトマンが大量に座っていて、正直気が引けた。けれども企画担当者であるノーマンは、さすがに怖気づくことはない。足を止めてしまった彼女の背中を押しながら、大きな声で最高責任者の準導師に許可を求めた。さすがに彼の独断で許可することは難しいらしい。
「すみませーん、彼女、心の導師の娘さんなんすけど、座らせてあげていいですか?」
 堂々と父親の名前を出したノーマンに、アウリーは目を丸くする。そんな七光りの権力を、こんな場面で使っていいものだろうか?
 言いたいことは伝わったようだが、ノーマンは不思議そうな顔をした。
「利用できるものは利用しなきゃ。今やりたい事をするために、プライドや意地、ましてや遠慮は邪魔だろう」
 要は「何かしたいなら、使えるものは何でも使え」ということらしい。
 若干の抵抗はあるが、言っていることは納得できた。アウリーは大人しく用意してくれた椅子に座る。この後自分の身に起こる事態を、彼女は知る由もない。のんきに闘技場に視線を送っていた。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷