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エイユウの話 ~秋~

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 一方、キースを探していたキサカは、先にラジィを発見する。優等生だからもっと早くに着いているのかと思っていたが、世話係でなくなれば時間にはかなりルーズのようだ。まだ目的地まで距離がある。向こうで会おうと今だろうと大差ないだろうと感じ、後ろから乱暴に声をかけた。
「おい」
 たったそれだけで、すぐ気付いてくれる。
「あら、キサカ。珍しいわね」
 久しぶりに会った感想は、キースがいないことに観点が置かれたものだった。もっと相応しい言葉は無かったのかと疑ってしまう。とやかく言いつつも、キースを一番に考えることが癖づいているようだ。
 合流した二人は特に目立った会話もせず、地の闘技場に向かって歩く。
 そんな中、思い出したようにキサカがこぼした。
「そういや、もう籍入れたんだってな」
 もちろんそれは、流の導師と保険医のことだ。かつて大泣きした人を相手に、話題の振り方が雑である。ラジィは一度ぎろりと睨んだが、ちらりともこちらを見ていなかった。そのためさっさと視線を前に戻し、すました顔をした。
「元ファン倶楽部オリジナルメンバーをなめないでちょうだい」
「そりゃ失礼。落ち込んでないから知らないかと思った」
 本当に遠慮のない言い方である。そこまで嫌われることをした覚えはないと、心で憤慨した。しかしぎりぎりのところで踏みとどまる。デリカシーのなさは、今に始まったことではないではないか、と。
「いいのよ。もともとそこまで入れ込んでなんかいなかったもの」
 今度はキサカがちらりと見た。ダメージを受けているようには確かに見えないが、いままでの心酔っぷりを思い返す。そして出した決断は。
作品名:エイユウの話 ~秋~ 作家名:神田 諷