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でんでろ3
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虹色とはどういう色か?

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キルミティア出版社新卒者正規社員採用試験、その最終面接に俺は勝ち残ることができた。思えば長い道のりだった。なにせ、今年の採用枠は、たったの1名。究極の難関だった。
 いや、過去形で語るのは、まだ早い。最終的に1番にならなければ、何の意味もない。己以外はすべて敵だ。
 そう思って、勢い込んでやって来たのだが、どうやら最終面接に残ることができたのは、俺ともう1人の男の2人だけらしい。そいつは、プレッシャーなど微塵も感じていないかのようで、余裕すら感じられる。スーツを自然体で着こなし、様になっているのが、しゃくに障る。

 最終面接は、意外にも、個人面接ではなくて集団面接であった。面接官の前で一騎打ちをしろという訳か。
 型通りの質疑応答が、いくつか繰り返された後、俺たちに、1枚のA4のコピー用紙とクリップボード、そして、1本の黒ボールペンが渡された。そして、面接官は、
「では、今から、5分間差し上げますので、それら3つの物を使って、虹色を表現してください」
といった。
 俺は耳を疑った。渡されたのは、黒ボールペンなのである。良くある事務用の安物の透明なプラスチックの軸のヤツだ。黒以外の色など出るはずがない。
 と、一瞬パニックを起こしかけたが、すぐに冷静さを取り戻した。なに、条件は奴も同じ。しかし、俺には、絵心がある。ボールペンは描きやすい画材とは言えないが、斜線の密度のグラデーションで虹を塗り分けてみせよう。

 5分後、私は、会心の1枚を描き上げていた。しかも、あいつは、この5分間、結局何も出来なかったようだ。これは、不戦勝決定か?

「それでは、先に、鈴木さん、見せて頂けますか?」
「はいっ!」
俺は意気揚々と描き上げた絵を見せた。
「ほほぅ、これは、なかなかお上手ですね。イラストは経験が、おありですか?」
「ええ、高等学校でイラスト部に所属していました」

 次に、面接官は、あいつに向かって、
「それでは、佐藤さん、見せて頂けますか」
といった。
 すると、あいつは、「失礼します」と言って立ち上がり、ツカツカと窓まで歩いて行き、ブラインドを開けた。眩しい光が差し込む中、あいつは、コピー用紙を置いたクリップボードを水平に持ち、その上空10cmほどの高さにボールペンを平行に構えた。
「ご覧ください。虹です」

我々は、彼のもとへと集まった。そこには、ボールペンの軸をプリズムとして分光された直線状の虹が輝いていた。