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歌命の苑

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「ねえ そろそろ お邪魔だよ。戻ろう。」
「そうだな。今度は俺達の視点で会おうな。」
「ばいばい」







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僕は色声苑十四歳です。

一応この国で王族の次に位の高いと云われている音命。

でも、この地位では僕の事を嫌う人もいるようです。

それは、清組にはどんなに優秀でも十六歳を過ぎなければ入ることが出来ないと云われて来たからです。

実際あきらも神黒(しんこく)と呼ばれ十二歳から十五歳までは暖の最高位の黄(おう)に入っていました。

それから十六歳になってやっと清組に入ることが出来た 神に愛されし子です。



それに対して僕は歌命に入ることの出来る十二歳の時の巫女の調力(しらりき)で、数少ない白の属性であると、判断され一年間橙(とう)につとめた。

その次の年の調力では、神白に愛されし子であると判断され、一気に昇格。
清組のしかもかなり高位の 藍 に入ってしまったわけで・・・・・。










あきら{実は世間を何も知らない超お坊ちゃんなのです。チャンちゃん}

苑{こら!あきら~}




今は王都から離れ、第2の王都と呼ばれるほど賑やかな 火と水の国 ファクアロイドへ向かっています。
一つは清華財閥の学園小学校に音の色を教えに。
もう一つは遠縁が亡くなったので天戻しの儀を行いに。
僕と仲良くして下さった方からとても悲しい。

天戻しの色は戻されるその人にによって違う。儀式は難しい。しかも今回は知り合いで、良くして貰った人だから泣いてしまわないか心配だ。



また一人いなくなった。

お父様とお母様がいなくなった時と同じ、この気持ちをあきらはもう気が付いているだろう。
だからこのさっきから何も話し掛けないでいてくれる。




****side あきら****



また独りになるのが怖いのか、さっきから苑の冷たくなった手が小刻みに震えている。
顔色もあまり良くない。

俺は何も言わないで、苑の手を(俺が一人にしないから。側にいてやる)という気持ちを込めて握る。

そして
「苑。天戻し者の事だけ考えればいい。その人の色の事だけ…………。
一人になんかしないから。何も怖くなんかないよ。俺が居る。」


そう言うと苑は少し驚いたような顔をしてから、何も言わずにこっちを向いてふわっと微笑んだ。








天戻しは、主な音を奏でる者と 支える音を奏でる者に別れてできる音。
支える者は音に精霊魔法の魔力を込める。主な音を奏でるパートナーの音の色を見て、それに最適な魔力の色を考えてその音に絡ませるように。
それが送るその魂を色のない透明に戻し、魂が安らかに逝ける一番清いとされる送り方だから。

そのため、奏者は力を使い負を背負う。
苑は体が丈夫ではないため、天戻しの者の負を背負うと体調を崩す事が多い。
その時の天戻しの者がどれだけの負を背負っているかで辛さは変わるが、永く生きていれば生きているほど、負は大きい。
そのため、今回は覚悟がいるだろう。
苑とあきらは白と黒の神に愛されし子のため白の精霊と黒の精霊が、力を貸してくれるため負荷が少なくて済む。
そのため、苑はよっぽどのことが無い限り儀式で倒れることはない。
神白に愛されし子ではなかったら、苑は天戻しの儀はできなかっただろう。
作品名:歌命の苑 作家名:帝乃 臣