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学校

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一、災難からの
災難、それは思いがけない不幸な出来事。敦には、その災難というもの一時的にやってきた。
それは、敦が中学一年の時だった。
 学校は女子校から共学になったため、男子の生徒数は少なかった。人によっては、喜ばしいことかもしれないが、敦にはなにも芽生えなかった。というか、逆に嫌いだった。
「なあ、敦。俺、香織ちゃんに告白しちゃったんだけど。」
友人の剛がクラスで人気ナンバー3に入っている桜場香織に告白したというのだ。
「ちょ、ちょっと。お前・・・俺を裏切ったのか!?」
「ん、まあ。やっぱり、男というのは女なしじゃ生きていけないんだよ。それに、まだあっちからの返事ももらってないからね。」
敦は、剛に怒りを覚えた。剛とは、「女無同盟」というものを結んでいた。それは、その名の通り女が嫌い、女を作らないという同盟である。
「くそ。」
「まあまあ、そう怒らなさんな。ほれ、健太もいるんだし。」
健太とは、これも敦の友人。女無同盟の一員でもある。
「よぉーすっ。」
噂をすれば、健太がやってきた。
「あ、そうそう。剛!香織ちゃんが呼んでるぞ~。このこの~~。」
香織が剛を呼んだというのは・・・ま・さ・か、返事。
「あ、香織・・・ちゃん。」
剛は表情を変えた。
「あの。倉野君・・・えっとー、その返事をしないといけないとって思って。」
香織は、さがってきた髪をかき上げ剛を見つめた。
「おお・・・」
「なんていうのかな・・・私。」
まさか、この返事はNO?といった表情で剛は目を丸くした。
「私も、倉野君が好き・・・」
声が小さくなっていった。だけど、剛には聞こえた。
「えっ!てことは・・・yesってこと?」
「うん。」
剛は、顔を赤くしてガッツポーズを敦らに向けて放った。そして、スキップしながら戻ってきた。
「おっしゃー!!俺って、ホント、モテるんだよね~。」
「調子に乗んなよ。」
敦が、剛に向かって矢を刺すが今の剛には通用しない。
「あとは、お前だけだな。」
健太が敦に向かっていった。
「へ?何がだよ。」
健太と剛は一度目を合わせ、お互い苦笑いを浮かべた。
「女がいないのは、お前だけっ!」
二人が声を合わせて言った。別に女なんていらないのに、悔しさがこみ上げてきた。
「へっ。悔しかったら、人気ナンバー1の秋原理沙ちゃんに告白して、OKをもらうんだなっ。」
「ちょ、ウソだろ。女無同盟は、どうなるんだよ!」
「そんなもん、最初っから知らねえよ。男子がこの学校少ないから、とりあえず男子の友達をつくりたかっただけだよ。」
剛が、きっぱり言う。
「右に同じく。」
健太もうなずく。
「健太、お前本当に彼女いるのか?」
敦は確かめたかった。まだ、そのことを受け入れることができなかったからだ。
「ああ、俺は、人気ナンバー2の吉野藍ちゃんだよ。すまないが、ずっと隠してた。」
「く、くそー。お前ら二人して裏切りやがって。お前ら、ただじゃおかねえからなあ!俺は、絶対、ぜーったい、秋原を取る!」
「へへっ、お前には絶対無理無理!お前は一人で女無人生を送ってろよ!そーだ、健太、今度ダブルデートしねえか!?」
剛の発言は本当に厳しい。
「おお!いいじゃん、いいじゃん。ダブルデート~!てか、剛、メーアド知ってるのか?香織ちゃんの。」
それに毎回乗っかる健太も厳しい。
「メーアド、うわ。そうや、そうや。聞かないと!ちょ、俺聞いてくる!」
行動が速いのも腹が立った。
「くそー。お前ら、俺を置いてく気か!?」
敦は髪をぐしゃぐしゃにした。
「まあまあ、そうカッとなるなって。ほら理沙ちゃん今こっち見てるじゃん。そういう、ひとつひとつの行動に気をつけないと。好印象をつけるのもポイントの一つだからな。」
健太は自分の言ったことに満足して不気味な笑みを浮かべた。
「っしゃー!」
剛が帰ってきた。なにやら大喜び。手には紙を握り締めている。
「おお!まさかのメーアド!?」
「いえすっ!」
また、話についていけなかった敦。
「ほれ、うらやましいだろ。さあ、俺らを従えたかったら、理沙ちゃんもらってこい。」
「・・・、わかった。」
敦は、まっすぐ理沙の方へ向かった。
「あー、えっと。秋原、今日の放課後いいかな?ちょっと話があるんだ。」
理沙は、長くてきれいな茶色の髪の毛が印象的な女。
「え、うん。いいけど。」
短い会話を終え、敦は二人の方へ帰って行った。
「どうだった?」
「え、ああ。今日の放課後言うよ。」
「ふーん。」
「てか、俺。あいつのことよくわかんないし。」
敦が言うと、しばらく自分の彼女にうっとりしていた健太が話に入ってきた。
「お前、知らねえのかよ!ようし、じゃあ説明しよう。人気ナンバー3、剛の彼女から説明する。桜場香織、かおりんはお母さんは元モデルでお父さんは大企業の社長。小さいころからバイオリンを習っていてその腕はプロ級。肩にかかるあの髪の毛、あの髪の毛は超いいにおいがする。それは、高級シャンプーを使っているから。そして、両親の仕事の関係で家では一人のことが多いとか。趣味は小説を書くこと。この前、完成したやつも大作だとか。それでー、年に3回以上告白されるらしい。で、タイプは面白くて明るい系。男子からはあの小鹿のような小柄な体系、きらきらの目が好まれている。」
健太の長い説明。どうして、自分の彼女じゃないやつまで知っているのだろうかと敦は疑問に思った。
「・・・、なんで健太が俺より香織ちゃんのこと知ってんだよ!」
剛が少し怒った。
「まあまあ、俺は何しろこのクラスの女子全員の情報をこと細かく知ってるからな。知りたいやつがいたらいつでも聞いてくれ。このノートと頭に入ってるから。」
「それじゃあ、健太の彼女は?」
剛が引き続き尋ねる。
「ふむ、人気ナンバー2の吉野藍ちゃん、あいにゃんは香織ちゃん系ではなく明るいタイプだ。お母さんは弁護士、お父さんはスポーツ選手。遺伝を受けて藍ちゃんも運動神経抜群。新体操を5歳から習っている。ちなみにカチューシャは月に一回変えていてお気に入りは赤いカチューシャ。モテる理由は自分から男子に話しかけてるから男子も楽しくなってそして、俺のようになる。おわかり!?だから、藍ちゃんはきゃわいいんだ!」
健太は、敦にドヤ顔をみせた。
「それで、そのー、秋原はどんな性格なんだよ。」
敦が尋ねる。
「ふむ、気になる、人気ナンバー1の秋原理沙ちゃん、あきりんはお母さんは、元モデルでお父さんは医者。家は超でかく、お手伝いさんも雇っている。チャームポイントはご存じのとおりきれいな髪の毛。すらっとしている体型は男子の心をつかむ鍵となっている。勉強もでき、運動もできる理沙ちゃんは歌がうまい!あの美声を聞くと皆とりこになる。優しい声、可愛い顔。これが人気ナンバー1になった素と言えるであろう。ちなみに付き合ったことのある人は中学で学校が離れて自然に別れたみたいな状況であり、中学に入ってからも告白は何度かあってもyesとは返してないとか。E組の神崎佑真と両想いとかいうのは噂だけ。神崎は好きとか言ってるらしいけど、理沙ちゃんは小学校が同じだっただけで興味はないと言ってるんだって。」
作品名:学校 作家名:phoo0621