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ベン・トー~if story~ vol.4

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15部 強くなるために


翌日。
放課後、俺はいつものように部室へ…向かわなかった。先輩と顔を会わせづらいのもあったし、神代に言われた言葉が胸に刺さった。
「君のような弱者に彼女は似合わない」
その言葉が頭の中で反芻する。悔しさで泣きそうになった。だが、堪えた。泣いたらそれを認めてしまう。そんな気がしてならなかった。
気分を変えようと藤澤と街に出る。だが、楽しめない。どこへ行っても神代の言葉が刺さってくる。
自分に実力がないってことくらい解っていたつもりだった。けど、面と向かって言われたのは初めてのこと。現実を突き付けられるのはあまりに耐え難かった。
「お前、何か悩んでるだろ?」
藤澤に訊かれる。俺は正直に頷いた。藤澤はまあ座ろうぜと言って缶ジュースを買い、公園のベンチに腰を降ろした。俺も続いて座る。
「で、何があった?」
カシュ、とジュースのプルタブを開けて一口飲んでから藤澤が訊いてくる。俺は昨夜あったことを話した。
「そうか、槍水仙をねぇ…」
藤澤は少し考えた後、
「藤島、ちょっとこっち向け」
何かと思いながら藤澤の方を向くと、いきなりビンタをかまされた。
「いっつ…何すんだよ!」
「喝だよ喝。お前があんまりにも情けねぇ顔してるからつい、な」
でも気合い入ったろ?と訊いてくる。
「ウジウジしてたって仕方ねえ。弱いなら弱いってことをまずは認めろよ。そんで、それが解ったんなら、強くなってレッドバロンを見返してやればいい。それだけだろ」
「そう…だな」
立ち上がる。もう、迷いはなかった。
「頑張れよ。槍水仙のこと、好きなんだろ?」
「ああ。先輩は誰にも渡さない!」
藤澤に礼を言って駆け出す。とは言ったものの、今のままでは神代には勝てない。どうしたものかと考えていると…、
「!」
見覚えのある後ろ姿を見付けた。
「おい、ちょっといいか?」
駆け寄って声をかける。
「どなたで…って、氷結の魔女のボーイフレンドじゃありませんか」
振り向いた梗が言う。
「久しぶり…でもないか。昨日もいたもんな」
「今日は氷結の魔女は一緒ではないんですか?」
鏡に訊かれる。
「ちょっと色々あってな」
「それで、何か御用でして?」
「ああ。不躾ではあるんだけど…俺を鍛えてほしい」
二人に向かって頭を下げる。
「鍛えてほしい、とは?」
「俺は狼としてまだまだ未熟だ。それを昨日思い知らされた。このままじゃ先輩を奴に…レッドバロンに盗られるかもしれないんだ。だから…」
レッドバロン、と聞いて沢桔姉妹の表情が変わった。
「レッドバロン…ですか」
鏡が苦い顔をする。
「知ってるのか?」
「以前、戦ったことがあります…」
「その顔…結果はよくなかったみたいだな」
「レッドバロン…?」
梗は首を傾げている。
「ッ!思い出しましたわ!あの男、私達を…あんな…」
思い出して落ち込んでいく。よほど酷くやられたのだろう。
「あの時の屈辱…忘れはしませんわ」
「今の今まで忘れてたじゃないですか、姉さん」
「何をされたんだ?」
「女性限定らしいですけど…」
鏡が言うには、何でも神代はあのマスクを使って女子に甘い言葉を投げ掛けて戦意を喪失させるのだと言う。男に使ったところで気持ち悪いだけだ。オルトロスの二人、特に梗がやられたらしい。
「とにかく打倒レッドバロンというのなら、私達も協力いたします」
「ありがとう、恩に着るよ」
「では早速、今日の狩り場へ向かいましょうか」

スーパーに着く。俺は歩きながら沢桔姉妹(主に妹)より話を聞いた。

「まず藤島さん。あなたは戦闘スタイルを意識したことはありますか?」
「戦闘スタイル?」
「狼達の動きを見ていれば解ると思いますが、それぞれ独自のスタイルを持っています。蹴りで戦う者、拳で殴る者、柔道や合気道、ボクシング…。果ては私達のように武器を使う者まで多彩なスタイルがあります」
「そういえばそうだな。全然意識したこと無かったよ」
「あなたはどんな風に戦っていきたいんです?」
「そうだな…」
「細かいスタイルまで決める必要はありません。大まかに決めてしまえば、後はそれに合うように決められますから。例えば、力押しだったり、素早く動いたりとかですね」
「うーん…カウンター、なんてのもありか?」
「ありとは思いますが、難しいと思いますよ?」
「そうか…」
「どうしてそれを?」
「いや、レッドバロンって素早く動くからさ。それでなくても突っ込んできた所にカウンターを決めれば弱い俺でも必殺性が増すかなと思って」
「なるほど。では、その方針で進めましょう」

そして、始まる。俺の新たな戦いが。鏡の言葉を思い出す。
「カウンターで重要になるとすれば、何よりもまず待つことです。当然ですが隙だらけで狙われやすくなります」
言われた通りに待つ。複数の狼が突っ立つ俺に向かってくる。
「敵は必ずしも一人とは限りません。同時に複数、ということも有り得ます」
タイミングを見計らい、しゃがんで転がり抜ける。勢いを殺せない狼二人は互いに突っ込んで自滅した。
「次に一対一の場合です。カウンターならこれ以上有利なことはないでしょう」
狼が一人、突っ込んでくる。
「相手の動きを見切り、的確なポイントへダメージを与えてください。言葉で言うのは簡単ですが、実際はとても難しいと思います」
確かにこれは難しい。見切ったはいいが、身体が相手の的確な部分への攻撃に追い付かない。頭ではわかっても、実際に戦うと難しい。だが。やるしかない。俺自身がこう戦うと決めたのだから。

作品名:ベン・トー~if story~ vol.4 作家名:Dakuto