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超短編小説  108物語集(継続中)

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 僕は濡れ切った君を抱き締めた。それからどこまでも優しく、そして柔らかく、君の唇を奪った。

 頬に降り注ぐ小夜時雨、それは無味のはず。だが、仄かな甘い味がした。そしてそれは無臭のはず。しかし、まるで雨上がりのように、清々しい香りがした。

 夏の終わりの小夜時雨、粒径は0.4ミリメ−トル、落下速度は秒速2メ−トル。主成分は紛れもなく[H2O]。それらは真っ暗な夜空より、さあ−さあ−と。微かな音とともに複雑に、交叉しながら降り続けていた。

 そんな日常を破り、僕は心の奥底にずっと眠り続けていた決意を、やっと君に伝えることができた。

「僕は……とてつもなく君が好きです。だから、一生をかけて、君を幸せにしてみせます。僕と結婚してください」

 君はコクリと頷いた。そして君の涙が、無色透明の雨に溶けていった。