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超短編小説  108物語集(継続中)

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「芹凛、よく見付けてくれた、お見事!」と珍しく百目鬼が褒める。
 だがここでギョロッと目を剥き、「今回の純情仮面は鷲爪に対し恨みを持つヤツの私憤晴らしだな」と洩らす。芹凛はその呟きを逃さず「その心は?」と突っ込むと、「純情は天女の衣には縫い目がまったくない天衣無縫、それに反しホーガンで人を殺めること自体が不道理な縫い目、つまり邪心の極みだ、よって本件は純情仮面に便乗した殺人と推察する」と言い切る。

 こんな鬼の直感を耳にした署きっての芸能通、芹凛はポンと手を叩き、「そういえば3年ほど前にロビンフッドの冒険というアニメがあったのですが、その声優の座を鷲爪に奪われた紺奴留(こんどる)がいました」と。
 この後静寂が、だが長くは続かず、百目鬼は鬼の形相に、いや純情過ぎる少年の面持ちで立ち上がり、「犯人のこだわりはロビンフッドの洋弓で処刑、これですべての辻褄が合った」と前置きし、あとは「我々こそ真の純情仮面だ、さっ、生卵持って、紺奴留の事情聴取に行くぞ」と声を張り上げ、外へと歩き出した。

 その後を芹凛が「生卵でなく、せめてワッパと言ってよね」と口を尖らせながら、追い掛けるのだった。