小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

超短編小説  108物語集(継続中)

INDEX|704ページ/761ページ|

次のページ前のページ
 


 事件から1週間が経過した。
 しかし進展がない。なぜなら目撃者がまったく現れないのだ。
 もちろんじっと待ってたわけではない。駅構内の防犯カメラから当該電車に乗車していた者たちをつきとめ、積極的に聞き込みを行った。
 だが、答えは全員「へえ、そんなことがあったのですか」、理由は「私寝てましたから」、「スマホしてましたから」が決まり文句だった。

 一気に解決できると目論んでいた通勤電車殺人事件、暗礁に乗り上げてしまった。
「今日、これで5杯目です」と芹凛から嫌みっぽく差し出されたコーヒーを一口すすった百目鬼刑事、本日一番の妙案が浮かんだのか、鬼の割には可愛い顔をして指示を飛ばす。「アレで、こちらから仕掛けてくれ」と。

 芹凛はわかってる、アレって何ですかなんて訊いても叱られるだけだ。
 とにかく脳味噌を絞って…、『通勤電車殺人事件に遭遇!』と題し、殺された男の画像を貼り付けてSNSに投稿した。そしてこれが見事に呼び水となった。
 新たな画像や、なんと犯行時の動画までが次から次へとUPされたのだ。
 そして一つのキーワードが、それは――通勤電車6両目同盟。

「満員の通勤電車、互いにどこの誰だかは知らないが、毎朝同じ車両で同じ時を穏やかに刻む。そんな平和を壊す者が現れれば、全員結束し、排除したってことでしょうか」
 芹凛がボソボソと本件の本質を吐いた。

 これに百目鬼は鬼の目をギョロッと剥き、吠えるのだった。
「何が6両目同盟だ、勝手に害虫駆除しやがって。絵は全部そろった、さっ、一網打尽に全員しょっ引きに行くぞ」