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超短編小説  108物語集(継続中)

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 雨が続けば、五つみ地蔵に参れ!
 なぜなら、人の不幸の源には五つの『み』――うらみ、つらみ、ひがみ、ねたみ、そねみ、がある。
 賽銭を上げて拝めば、五つの『み』は霖雨(りんう)に流され、あとに五つの『い』が表れる、つまり嬉しい、楽しい、気分がいい、ありがたい、そしてハッピーい――になること間違いなし。

「ハッピー『い』? なによ、これ、巫山戯てるわ」
 町を流れる鶯川(うぐいすがわ)を上流へと遡ると、鄙(ひな)びた集落がある。隠れ村と呼ばれ、世捨て人たちが鶯橋の袂の地蔵を崇め、暮らしていると言われてる。

 だがその謂われの文言を読んだ芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事が素っ頓狂な声を発したのだ。
 それも当然。
 というのも6月15日の夕刻、町の川下で男の死体が上がった。検死したところ頭部に激切な打撲痕があった。河床の岩は増水で水面下にあり、落下時に生じた損傷とは考えにくい。
 こう判断した百目鬼刑事、「男は撲殺され、川に投げ捨てられたのだろう。さっ、犯行現場を探しに行くぞ」と芹凛に声を掛け、この地蔵まで川沿いを上り来た。

 もちろん捜査は真剣、だが芹凛の疲れはマックスに。そんな時に、賽銭を上げてハッピー『い』、と読み込み、「まず金払えって、巫山戯んな!」となったのだ。
 しかし、芹凛は気を沈め、「五つの『み』が動機で……、この辺りが犯行現場かも」と女鬼デカの勘を尖らせ、視線を地蔵後方へと移す。その瞬間だ、ある一点に目ん玉をキーンと光らせた。
 なぜなら凶器と思われる金属バットを見付けたのだ。お手柄だ。