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超短編小説  108物語集(継続中)

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 場末の飲み屋街、その路地裏で初老の男が鋭利な刃物で心臓を一突きされ、殺された。
 被害者は死の淵で数メートル這ったのだろう、一夜明け新聞配達員が朝陽に照り返す血糊の線の先に、その死体を発見した。110番通報があり、すぐに百目鬼刑事と芹凛(せりりん)こと芹川凛子刑事に、出署前に現場へ直接向かえと緊急命令が発せられた。

 当然二人は指令に従い、駆け付けた。すると出勤時間前だというのに事件現場には野次馬がたかっている。一応ロープで隔離はされていたが、死体には無造作にシートが被せられてあるだけだった。
 そこへと百目鬼刑事は直進し、躊躇することなくシートを剥ぎ取る。そして芹凛に目配せし、一緒に手を合わせてからカッと目を見開き、遺体の確認に入る。

 顎髭に乱れた白髪、一見貧相に見えるが、キリリと引き締まった口元からしてどうもただ者ではなさそうだ。その瞬間、芹凛が発する。
「仏さん、ひょっとして…、燻屋(いぶしや)銀次郎さんじゃない?」