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超短編小説  108物語集(継続中)

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 さっ、皆の衆、夜の街に繰り出すぞ、と私が出陣宣言した時のことでした。ミッキッコが、生臭いわと横腹を突っつくじゃないですか。
 私たちは四神の末裔、ミッキッコが朱雀、佳那瑠は白虎、悠太が玄武で、私は青龍とDNAを引き継いでいます。そのため妖怪や動物の臭いに敏感なのです。
 佳那瑠も悠太も同感だと。当然私もゾッとしていましたので、「おぞましい事が起こる予兆かもな」と最近拡大しつつある額に手を当てました。その瞬間です。獣臭を放つ連中を、私たちははっきりと確認しました。

 そう、やつらはチョロチョロと動き回る――鼠。
 四神を祖先に持つ私たち、特に朱雀は鳥の一種、視力は抜群です。
「100匹はいるわ、気持ちワルー!」
 ミッキッコの二の腕に、見事に鳥肌が立ちました。

 それに比べ悠太は悠長に、
「明治時代、渋谷でペストが流行り、鼠が大量に駆除されたんだ。近くにはその鼠塚があるよ」と、何が言いたいのかわかりません。これに佳那瑠が、やっぱり悠太にホの字なのか、「渋谷には鼠たちの怨念が渦巻いてるってことでしょ」と言葉足らずをしっかりサポートしました。

 確かに!
 時代の最先端を走り、若者たちで賑わう渋谷。されど現実は何万匹の鼠が徘徊しています。
 これって妖異現象、私は将来途轍もなく悪いことが起こると予感し、すぐさま号令を発しました。
「懇親会は中止。この外道な事態にどう対処するか、それを決めるため今から秘密基地に集合しよう」