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超短編小説  108物語集(継続中)

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 この推理には、凛太郎の傷が包丁でなく、ナイフによるもの、その証明が必要。

 だが、それを待たずとも綾音には多額の保険金が振り込まれる。
 またラリにとっては、夫たちが互いに斬殺し合った、これがもし工作できれば、凛太郎の多額の遺産が舞い込み、かつ世間からは不幸な妻として同情が集まる。まさに将来は盤石なのだ。

 こんな動機だが、充分あり得る事件。百目鬼は芹凛の鋭利な推理に目を覚まし、鬼の目をギョロッと剥いた。
「あまりにも不条理、ついに神は辛抱堪らず、芹凛に舞い降りたようだな。夫婦の縁を血祭で終わらせて、生き延びようとする妻たち。その仕組まれた刺し違え事件、凶器は一本のナイフだった。さっ、暴きに行くぞ!」