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超短編小説  108物語集(継続中)

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 今、そんな[減らないラーメン]の、かっての真奈美のシーンが蘇り、二人の顔に柔らかい笑みが零れる。

 しかし、当の本人の真奈美、そんなことは忘れてしまっているのだろうか、娘の愛沙をまた急かそうとする。
「早く食べな……」
 一応、ここまでは発した。しかし、あとは口ごもる。

 やっと真奈美は思い出したのだろうか、今度はいきなりぎゅっと愛沙を抱き締める。
「愛沙は私の娘だもんね。ラーメンが減らないのも……、仕方ないわ」
 こう囁かれた愛沙、やっと笑顔となる。

 そして、そんな微笑みの前には、店員が運んで来た時のままの量、すなわちふやけ切ったラーメンの鉢が、ただただ鎮座していたのだった。