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超短編小説  108物語集(継続中)

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 拓馬のひいお祖父さんは当時乗船し、任務にあたっていた。だが不幸にも、海の藻屑となり、残された家族はそのまま敗戦を迎えた。その後、昭和/平成/令和と時は流れ、ひ孫たちは今を生きている。
 拓馬は時々思う。ひいお祖父さんは一体どういう人だったのだろうか? そして、その最後に、何を思い、冷たい海の底へと沈んで行ったのだろうか、と。

 拓馬の心が揺れ乱れる。そんな中、一通りの会見が終わった。そして「今から質問をお受けします」とガイドがあり、拓馬は早速手を上げた。
「帝国新聞社の花木です。この国家プロジェクト、長年海底に沈んでいた戦艦大和を引き上げ蘇らせる。そしてその勇姿が見られるとなれば、日本人の心に新たな感動が生まれることでしょう。さて、二つの質問があります。一つは、費用はどれくらいかかりますか? 二つ目は、七万トンの、いわゆる鉄塊を海底から引き上げる、これは技術的に難しいことだと思いますが、どのような方法なのでしょうか?」

 報道官は、それは当然の質問だという顔をして、淡々と答える。
「予算としては三千億円を予定してます。また方法は、深海ロボットにナノチューブ・ワイヤーで、戦艦の下に網を編ませて、それを30隻のサルベージ船で引き上げます。そしてドッグまで曳航し、水を抜き、あとは大きな台車で地上へと運び上げます」

 拓馬はなるほどなと感心した。そして急ぎその情報をパソコンに打ち込む。その横で他のやり取りが続いて行く。そして最後に案内があった。
「現地ではすでに深海ロボットが調査を開始してます。その映像が送られてきてますので、前のスクリーンをご覧ください」