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ゴーストライナー

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ゴーストライナー


 初めてアレを目にしたのは五つの頃だった。少なくとも、私の記憶に初めてアレが登場のするのはこの頃のことだ。
 あの頃は家族三人には手狭なアパートに住んでいた。窓からは通りが見えて、そこそこの交通量なのだ。すぐ近くに無人駅があり、便利は良いが古かった。今では駐車場になっている。
 宵の頃、目を覚ました私はふと窓に目を移した。何故だろうか。理由は分からない。ただその時私は、窓の外にとてもこわいものがいる気がしたのだ。だから私は窓から外を覗いたのだ。
 ――やっぱりそれはこわいものだった。
 人が並んでいる。一列に、ずらりと。その長い列は、家の前を横切り、近所の無人駅の方角へと伸びていた。
 なんだろうか、こんな夜中に行列ができるなんて。そう思っていたら、その行列のうち、一人がこちらに目を向けた。
 目がなかった。がらんどうの目玉をこちらに向けて、私を目を合わせた。
 途端に、その行列全員が私の顔を見た。
 ああ、そうだ。全員目がなかった。がらんどうの目玉が私を次々と射抜いてゆく。
 ――こわいものを見た。
 その夜は、朝まで怯えながら過ごした。
 次に見たのは八つの頃。宵闇迫る秋口だった。夕日の茜色と宵闇の群青色が混ざり合う空の下、彼らは列を成していた。
 祭りの夜、彼らは帰宅者が作る人ごみに紛れて列を成していた。ユラユラと歩く彼らは特徴的で、人ごみの中でも容易に判別が付いた。
 二度目の目撃で肝が据わったのか、彼らを観察する余裕がその時私にはあった。
 姿は私たちと変わらない。洋服を身にまとい、髪型も目新しいものはない。ただ、彼らには目がないのだ。洞穴のような眼窩をユラユラと揺らし、歩いてゆく。列の長さは一度目は長く、二度目は一度目ほどに長くはなかった。
 突然現れる彼らに怯える夜も少なくない。もし今窓の外に彼らが列を成していたら。そう思うと、眠れなくなってしまうのだ。
 彼らの姿が見えているのは私だけであり、何故列を成すのか。一体どこに向かっているのか。一切が不明である。
 彼らは一体何なのだろうか?
 答えはまだ出ない。

作品名:ゴーストライナー 作家名:最中の中