小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
檀上 香代子
檀上 香代子
novelistID. 31673
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

失格ママの子育て

INDEX|1ページ/8ページ|

次のページ
 
失格ママの子育て

  第一章 失格ママの誕生記、

安保反対の運動が、激しくなった秋、二月の新人公演のソロ舞踊作品に

取り組んでいたとき、自分が何のためにおどるのか?自分は何のため、

誰のために存在するのか、二十八歳の私は、暗い闇の中を、苦しんでい

た。自分の生きている意味がなく、死の誘惑がささやく。そんなとき、

生徒の六歳の少女から〔先生、今度の土曜日稽古ありますか?〕と電話

あり。その明るい透明な声を聞いたとき、頭の中で、何かがはじけた。

死と言うくら闇が、はじけた。(そう、人間生を受けたときから、死に

向かって歩いている、死は考えなくても、必ず訪れる。なら、誰のため

でなく、自分が自分の存在を、必要とする生き方をしよう)心の中で叫

んでいた。 その一ヵ月後、 体調の異変で病院にいくと、〔妊娠2ヶ

月初期〕私が生きることを決めたときに、命を受けた卵?彼に話して、

もし反対されれば、彼と別れても、この子と生きようと決めて、産む決

心をする。新人公演後、バレエ団を休団する。

その決断が失格ママの誕生になったのであッた。
     

   第2章  泣きべそ母さん

退院して、ボツボツ一ヶ月、仕事復帰の準備をする時期になった。家族

の反対を押し切って出産した私には、一週間の夫の手助け後は、全て一

人でやらなくてはならなかった。 この日に限って、ミルクを飲み、お

しめを変えても、泣きじゃくり、ぐづついて、てこずらされる。一時間

後、やっと寝付いた太郎を、ベットに寝かし、本を1冊持って6畳一間

のアパートを飛び出す。三十八時間の苦しみ、分娩室では、〔親になる

気がないの’赤ちゃんは、一生懸命頑張って生まれようとしてるのに、

それでも、お母さんなの!〕と、叱られ、朦朧とした意識の中で、

〔はい、はい〕と返事をする自分の声が遠くに聞こえる。そんな思いを

して生んだ我が子が、すごく重荷に思えた。〔次のミルクの時間まで、

絶対に帰るものかー、こんなことなら、乳児院に、預けてしまいたい。

養子にやるのも。〕などと考えながら、喫茶店に入る。 コーヒー一杯

で、三時間粘り、少し心落ちついって、家路につく。表から2階の我が

部屋を見上げると、静かだ。(やれやれ、眠っている。)部屋に着き、

鍵を回す。ガチャッ、(オギャア、オギャア)。ものすごい声。

(ありゃ、)渋い顔をで、傍に行くと、全身の力で布団を蹴り上げ、

激しく泣く。イライラしつつ(なによ!)と言いつつ抱き上げると、

小さい手の平を一杯に開き、私の胸元を、ギュッと強い力でつかむと、

訴えるように激しく泣く。〔読まれた、心の中を読まれた!〕

激しい後悔と自分の身勝手さに情けなく、(ごめんごめん、もう、

あんな酷い事は考えない、思わない、ごめん、強いお母さんになるか

ら、ごめんね)といいながら、私は大声で泣いた。親子の大合唱、ど

れだけ続いたか、気がつくと、太郎は泣き止んでいって、澄んだ瞳で

私の顔をジッと見上げていた。強くならなきゃ、ママ失格だあ!、 
               

   第3章、 かーたん、タックン嫌い?

太郎、もうすぐ二歳、一歳半より渋谷の保育園に、通園、入所当時、泣

くとレコードをかけると、なき止み、レコードが終わると泣き始める、

機嫌が悪いと、色紙で蝶を作り、セロテープで髪につけると、ご機嫌が

良くなると、先生方に言われたが、半年近くの生活で、その蝶もなくな

った。その頃、私は、生活のために、ヤクルトのアルバイト、会社の就

業時間前と、朝礼後、そこで営業する。数社の受け持ちで時間が勝負、

効率よく回らないと、五分の違いで売れ上げが三分の一になる。スト

レスが溜った頃である、朝礼の始まった頃、いつものように太郎を保

育園に連れて行くために、おんぶする。二、三歩、歩きかけたとき

(かーたん)遠慮がちに背中から声がかかる。(うん?)(かーたん 

タックン、きらい?)ドッキン、か弱い心臓がなる。(どうして?)

(かーたん、タックンおこってばかり)慌てて背からおろし道路に膝

を着いて、子供の目線に向かい合う。(そんなことない。タックンは、

お母さんの宝物だよ。一番大事な宝物。でも疲れているときタックン

が、何時ものタックンでない時、お話すればいいのに怒ってしまうの。

でも、タックンを嫌いだからじゃあない。大事な、大事な宝物だよ。)

私の気持ちをわかってもらうために、太郎の目を見て必死に話した。

二歳の子に、大人の言葉が理解できるかどうか考える余裕はなかった。

でもニッコリして私に全身で抱きついてきた。しっかり胸に抱きなが

ら、解ってくれた目頭が熱くなる。二歳の子に、こんな思いをさせる

なんて、本当に母親失格だね。でも、子供は、素晴らしい、一生懸命

目を見て話せば、大切なことは何か、わかってくれるのですね。それ

からストレスでいらいら、太郎に当たってしまうと、心配で、こちら

から聞く〔母さん、タックン嫌いになったのかな?〕すると〔違う、

かーたん疲れているヒステリー〕だって。でも、ヒステリーって言葉

何処で覚えたのだろう?いまだに解らないミステリー。
                  

  第4章  初めての迷子、かあちゃん、僕が居ないと、ダメなの!                  

足立の都営住宅に、2歳半の息子と二人引っ越して2週間。(外に行っ

ていい?)(うん、早く帰っておいで)(うん)元気に出かけていった

息子。 昼近くなっても帰ってこない。ドッキ、なれない場所で迷子? 

団地の中を、(タックーン、タックーン)呼びながら走り回る。(おく

さん、どうしたの?)同じ棟の一階の鈴木さんが、自転車に乗って、

声を掛けてきた。(息子が、いなくなっての。)(歩いてでは、この広

い団地、大変だわ。私が回ってあげるから、もしかしたら、帰ってくる

かも解らないから家に帰ってまちなさいよ。)言葉に甘えて、家に向か

う。五分後、(奥さん、見つかったわよ。五十棟の人が、探しているの

は、この子?うちのドアを叩いてるので出てみたら、(タックンのおう

ち何処?って聞かれたけど、知らない子だし、洗濯終えたら、交番へっ

て思っていたのよって。つれてこようと思ったのだけど、このうちの

おばさんと一緒でなきゃダメ、動かないので、部屋番号を言ってあるか

ら、急いで帰って待て。)(ありがとう)お礼を言って、息子への怒り

にカッカしながら、家の前に着いたとき、階段を上がる足音。振り向く

と。中年の女性に手を引かれた我が子。走りよって抱きしめたとたん涙

があふれ、タックン、どうして?何処へ行ったの? タックンが居なく

なったら、お母さんどうしたらいいの?母さん、ダメになちゃう。)、

ワアワアおお泣きの始末、泣いてる私の頭をなでながら(ごめんね。)

と小さな声。泣きながら見上げると、唖然とした顔の女性、慌てて涙を

拭きながらお礼を言う。きっと、あきれられただろう、余りにも失格マ
作品名:失格ママの子育て 作家名:檀上 香代子