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エイユウの話 ~夏~

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「それが、映らないのだよ」
 心の導師にすら見えない未来と言うものがある。それは魔力が足りないわけではなく、例外なくして自分の死ぬ状況というのは見えないものなのだ。そのため、父親の映らないという発言に、アウリーは驚いてから悲しげな顔をした。それを見た心の導師は、慌てて言葉を続ける。
「いや、ぼやけてしまっているだけだよ。こう・・・他の生徒よりはそれなりに見えているようなのだが、どうも私の可視期間内では無いようでね」
 心の導師と謳われる父は、最大期間である四ヶ月まではきっちりと見えたはずだ。ちなみに心の導師は魔力のコントロールが重要視されるため、魔力の量は二の次なのである。つまり、生徒の中に心の導師と近い期間まで未来が見えたとしても、可笑しな話では無いということだ。
 しかし、そうなると心の最大権力者の可視期間を超えた未来を、劣等生のアウリーが見えたということになる。けれども、それは現実的に見て考えにくい。また、アウリーにはそれを言いたくない別の理由もあった。
 理由の件はともかくとして、上記の内容を心の導師に告げる。すると彼は感謝を述べてから彼女をあっさり退室させた。もともと、導師自身も劣等生の娘に優等生が出来なかったことが出来ると、思っていなかったのだと彼女はわかる。それを、彼女の環境改善のために利用できるという可能性を、嬉々として企んでいたことも。
 彼女が出て行ってから、一人になった教員室で彼は再び風晶に魔力をこめた。
作品名:エイユウの話 ~夏~ 作家名:神田 諷