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隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

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夜空と猫



その翌日も俺達のクラスは「時間割り」による能力開発が行われた。
しかし、ここ数日は能率が上がらない。集中力も下がっているようだ。
当たり前だろう、中等部を含めても能力が発現した生徒は
まだ十数人しか出ておらず、レベル4相当の能力者は
今のところは何故だか隣人部の3人だけなのだ。

俺は半ばあきらめていたが、普段から成績優秀を謳う夜空は
毎日能力開発の参考書を家に持ち帰ってまで努力を費やしていた。
しかし、夜空の顔色は日に日に悪くなっていくようで、見ていて正直心配になる。



その日の放課後、俺と夜空は一緒に帰る事となった。
俺は例によってスーパーで買い物をするため、夜空はすぐ隣の本屋に寄るという。
というか、やっぱり元気を無くした夜空が気になったから、というのもある。

「なあ夜空・・・お前大丈夫か?」
「なんだタカ。私なら大丈夫だぞ。十分元気だ」
「しかし顔色悪いぞ・・・少し休んだらどうなんだ」

「・・・この私が、休めると思うか?
 くそあの肉め・・・何としても肉を越えなければ
 私としては納得がいかないのだ!」

ああそういう事か・・・全くこいつらはいつでも張り合ってるんだよな。
いつだったか闇鍋の時も、カラオケの時も遊園地の時もそうだった。
しかし今回は明らかに星奈にアドバンテージがあるので、夜空は辛い立場だろう。

「まあ、でも今はなんか自分を追いつめても仕方ない気もするし
 ひと呼吸置いて、体勢を立て直してからまた頑張ってもいいんじゃねえのか?」
「そうだろうか・・・確かにずっと気が張ったままだったからな。
 少し休んでもいい気もするがな」夜空はうつむきながらつぶやいた。

スーパーがある商店街までの道に公園がある。
俺達はその公園のベンチに座り、缶ジュースでも飲む事にする。
隣に置いてある自販機はなぜか、横っ面が妙に凹んでいる。
誰かが何度も蹴ったように見えるんだけど何なんだろう・・・

「ほらよソラ、なんか変なジュースしか置いてないんだけど
 ヤシの実サイダーなら飲めるだろ」
自販機からジュースを取り出しながら言う。
「ああ、ありがとうタカ」夜空は素直に受け取った。

二人でベンチに座りながら缶ジュースを飲んでいると
小さな三毛猫が近寄って来た。
猫を見るなり、夜空の顔がにわかに明るくなる。
「・・・ちっちっち、ちっちっち」夜空は猫に呼びかける仕草をした。
すると三毛猫は、すぐに夜空の元に駆け寄って来た。
夜空は、その三毛猫を抱き上げてみる。

「おおっ、この猫は人なつこいな・・・にゃ~♡」

何・・・!?夜空が
今 なん の 鳴 き ま ね を し た・・・?

この容姿端麗で頭脳明晰だがいつも不機嫌な表情でクラスメートから敬遠されてて
しかもリア充を敵視していて毒舌無双のあの夜空が・・・

驚く俺の顔を見て、夜空の顔が真っ赤になる。
「な、何だタカ!っべ、べつに私が猫の鳴きまねをしても良いじゃないか!
 たっただ私はねね猫が人懐こいからであって決して最近寮の近所で見つけた
 猫カフェ通いの成果というわけではなk」
耳まで赤くなりながら怒鳴る夜空だが、猫は身じろぎもせずに夜空の顔を
真っ直ぐに見つめていた。

すると、公園にもう一匹、今度は白猫が現れて
俺達の近くまでトコトコと歩いてきた。
それだけでなく、公園のあちこちから猫が何匹も出てくるではないか。

「おお!ここは楽園か・・・?楽園なのか・・・?」
夜空が惚けたようにつぶやく。
しかも、どんどんその数が増えて俺達の周りを囲むようにして集まって来た。

「な、何だぁ!?」
俺はだんだん不気味になって来た。
「・・・ひょっとしたら、これが噂の猫集会というヤツか・・・?」
夜空が訝しんだ。
「だとしても、わざわざ俺達の周りを囲む事はねーだろ・・・」
「もしかしたらこの三毛猫を返して欲しいのだろうか?」

俺は冗談のつもりで「じゃあ猫語で聞いてみたらどうだ?さっきみたいにさ」
と提案してみた。
すると夜空は「そ、そんなこと出来るはずが・・・」とまた顔を赤くするが
「むう・・・こんな機会はめったにないだろうからな・・・」とつぶやくと

「・・・んにゃ~お、にゃん」

まさか本当に 甘 い 声 で 猫 語 を 話 す とは!
俺はちょっとびびって、思わず飲んでいた缶を落としてしまった。

すると、何と猫の一匹が落ちた缶を口でくわえて、拾い上げた・・・!?
更にビビる俺に向かってその猫が近寄り、丁寧に缶を俺の手元に置いた。

「どういう事なんだってばよ・・・」青ざめる俺だったが
夜空はなぜかハッと何かに気付いたように目を見張り、
それからしばらく考え込む風にうつむいてから、コホンと咳払いを一つすると

「うにゃ~おお、にゃ~」

夜空さん!?一 体 ど う し ま し た か !?
俺はもうビックリし過ぎて、頭が真っ白になってしまった。

しかし次の瞬間、更に驚く事が。
なんと好き勝手な所にバラバラに座っていた猫達が何と
綺麗に整列しだしたのだ。

夜空がまた「んにゃ~、にゃん!」と言うと
猫達は今度は並列になり、さらに猫の背の上に別の猫が乗っかり
それを繰り返して、まるで組体操のピラミッドのようになった。

「にゃ!」と夜空が短く言うと、組体操が一気に弾けて元の整列状態に戻った。

「おい・・・これって」俺が恐る恐る言う。
見ると、夜空は全身をぶるぶる震わせている。
「・・・そうか、そうなのか・・・!」夜空の声も震えていた。

「分かったぞタカ!これが・・・これが私の能力なのだ!!!」
「や、やったなソラ!!!」
「ああ、ついに、ついにやった!」夜空も涙目になりながら叫んだ。

俺達はすぐに公園を後にして俺達はすぐに本屋に向かった。
能力開発コーナーで、精神系能力の解説本を見つける。

「あった。これだ。私の能力は動物の精神操作が可能なのだ」

精神系能力にも色々あり、人間同士のテレパスやマインドコントロールだけでなく
動物や植物や微生物などとの意思疎通や操作に特化した能力もあるらしい。
夜空は、意気揚々とその本を買って帰っていった。