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隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

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身体検査



そうこうしている内にもう次の週になり
ついに俺達が「身体検査」を受ける日が来た。
測定用設備の無い学校であれば、生徒は設備の整っている学校か測定用研究施設に
赴くのだが、俺達はまだ全体的にレベルが低いと看做されているために
簡易的な測定用機器をトラックやバスで運んで来て、各教室や校庭を使って
測定する事になった。

しかし事前にレベル4相当と判断された夜空、星奈、幸村、小鳩は
特別に研究機関での測定となったので朝から学校に居ない。

そして俺は一日中、片っ端から色んな検査を受けているが
白衣を着た検査員の人も苦笑するほど何も引っかからないのだ。
「はあ・・・」俺はため息をついた。

まあすぐには能力が出ないのが、本来当たり前なのだ。
この学園都市でも、全学生数180万人のうち約6割がレベル0(無能力者)であり
成果が出ずにドロップアウトして、スキルアウトになってしまう学生も多いと聞く。
隣人部の四人のように、装置に掛けられてすぐに、しかもレベル4の能力が
発現するのは学園都市でもかなりのレアケースなのだという事だ。



「身体検査」の結果はすぐに出た。
案の定、夜空と星奈、幸村と中等部の小鳩はレベル4だ。
2年5組のクラスは、夜空を除いて全員がレベル0。
高等部全体でも、あと星奈と幸村を除いた447人中35人がレベル1で
残りの全員がレベル0といった有様だ。中等部でも似たような状況らしい。
しかし能力席次一覧を貼り出した掲示板を見ると、もう一人レベル4が居るようだ。
その名前を見る。







「志熊理科」

ええええええええええええええええええええ!?

あのガチガチの科学万能主義者で「と学会」の史上最年少会員で大月教授のファンで
能力否定シンポジウムに論文を発表するくらいアンチオカルト、アンチ疑似科学の

理科が

レ ベ ル 4 の 能 力 者 だと!?

ありえねえ・・・ガムダンがオヴァと対戦するくらい有り得ねえ。
しかしその張り紙からでは、理科が一体何の能力を持っているかが分からないので
理科にあったら直接聞く事にしよう。


しかし、結局その日は理科に会う事が出来ず
2日後の放課後にやっと理科が隣人部に顔を出した。

「小鷹先輩!どーしました?理科が居なくて寂しかったですかぁ~?」
理科がいつものように微笑みながら挨拶してくる。
しかし、その顔は少しやつれ、目の下には隈があるようにみえた。

「理科、お前レベル4なんだってな!?」
俺が訊くと、理科が全身をビクッとさせた。
「あ、あはは・・・バレちゃいましたか。
 そーなんですよ理科もついに能力に目覚めちゃいまして~
 ・・・変ですよね、時間割りを受けてないのにですよ?
 研究機関の話だと、理科は「原石」といって天然の能力者って事らしいです。
 あんまりにもレア過ぎて、研究機関でも争奪戦らしいんですよ。
 そんな希少価値のある理科、今晩いかがですかぁ?」
「いやそういうの要らねーから」とりあえず否定しておきつつ
「それで理科、お前の能力はどんなやつなんだ?」

「はい・・・心霊召還(ガイストコーリング)です」

「・・・何だそれ?」

「話によると、なんでもAIM拡散力場の残滓を受け取って、それを可視レベルで
 増幅させる能力なんだそうです。
 ・・・まあ、簡単に言っちゃえば、幽霊を呼び出す事が出来ます」

「はぁ!?」
「小鷹先輩達はもう授業で習いましたか?AIM拡散力場は主に能力者が
 周囲に発している微弱な力の事で、最近では能力者のみならず
 普通の人間にもあるという事が分かっています。
 そして人が死ぬと、普通はこのAIM拡散力場も無くなるそうなんですが、
 ある条件下では死んだ後もAIM拡散力場が残り、
 周囲の環境に影響をもたらすそうです。
 これが俗にいう幽霊だとか、又は妖精や精霊といった存在の
 正体だと考えられます。
 理科の能力は、そのAIM拡散力場の残りを拾って
 意味のある形として認識出来ます。
 まあ言ってしまえばイタコとか、霊媒の人と同じなんですけどね」

「そうなのか・・・しかし霊媒とかは結構ありふれてるような気もするけどな」
「問題はそこなんですよ小鷹先輩。確かに市井の霊媒の方達も多いのですが
 実はその殆どはせいぜいレベル2クラスでしかないそうなのです。
 高レベルの霊媒能力者は殆ど居なくて、居てもとっくに機関に雇われていると
 されているのですが、そんな中で理科は今まで気付かれなかったわけで
 今の理科の境遇は、ドラフト指名前の斎藤幽鬼投手みたいなものですよ!
 どうですか今の理科は有望な投資株としてお買い得ですよ!」
「いや買わねーから」

そういえば思い当たる節があるな、と俺は思った。
遊園地のお化け屋敷に行った時に、理科だけに鎧武者の幽霊が見えたのは
やっぱりフラグだったのか。
しかし今まで頑固なまでの能力否定派だったのに、その当人がいきなりレベル4の
能力を持つとは、何だかものすごく皮肉な結果だ。
その事は理科にとっても大変な衝撃だったろうなとは思う。

と、理科のケータイが鳴り、理科はそれに出ると申し訳なさそうに
「小鷹先輩・・・理科は研究機関にお呼ばれされちゃいましたので
 今から行ってきます。
 皆さんには宜しく言っておいて下さいね」
そう言うと理科は部室から出て行ってしまった。
その後ろ姿は、まるで生気がなく理科自身が幽霊みたいだった。

「理科・・・大丈夫かアイツは」

理科以外にも、レベル4と認定された夜空、星奈、幸村、小鳩は
それぞれ放課後に研究機関に呼ばれて出かけてしまっていた。
マリアも研修からまだ帰って来ないので部室には今は俺しか居ない。

「はあ・・・」と俺は一人寂しくため息をつくのだった。