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隣人部「学園都市?」 または、とある世界のはがない

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つかみというより、どうしてこうなった




「タカ、そろそろ隣人部に行くぞ」
「ああ、分かったよ」



今日も、俺と夜空は放課後に隣人部へと向かう。普段通りの日課だ。
ただし今月に入ってからは少し、いや大いに落ち着かないのは言うまでもない。

なぜなら、聖クロニカ学園とその生徒全員が
東京西部にある学園都市に引っ越して来たからだ。

ことの発端は先月、10月中旬頃に遡る。
原因不明の火事で、聖クロニカ学園の校舎が全て焼け落ちてしまったのだ。
ただ幸いにして、火事が起きたのが深夜だったお陰で
教師生徒は誰も怪我を負う事は無かった。

だけど校舎が一夜にして焼失したお陰で
俺達聖クロニカ学園の生徒は全員その日から自宅待機を余儀なくされた。
しかし、学園理事会の決裁で聖クロニカ学園は高等部/中等部ともに
なぜかいきなり学園都市に移転する事になったのだ。

まあ元々聖クロニカ学園は群馬と埼玉の県境にあったので
学園都市とは近い距離だ。
どういうわけか移転先の校舎も既に手配されているという事で、
何だかあれよあれよという間に学園ごとの引っ越しが行われてしまった。
だけど俺達生徒も、費用は学園持ちでではあるが全員学生寮に引っ越す事になった
ので、言う程あっさりなんて事は決してなかったのだが。

ただ、学園にあった教材や用具などのうち、燃え残った個人の物については
後で各自の家に宅配されてきていた。
送り主がなぜか、陸上自衛隊新町駐屯地(群馬県にある基地だろう)だったけど
きっと、被災地みたいに撤去や捜索に自衛隊が駆り出されたのだろう。

しかしながら元々聖クロニカ学園は、イギリス清教系のミッション校であり
科学重視・能力開発専門の学園都市とは相反する校風であったはずだが、
最近の戦争に絡むイギリス清教と学園都市の接近もあり
こういう事が可能になったらしい。
具体的には星奈の親父さん(天馬さん)の話を聞いていないので分からないが
どうやら火事があった直後に、天馬さんのところへ
イギリス清教の最大主教の特使が直々に会いに来られて
話がまとまったようなのだ。
その頃は星奈も何だか舞い上がっているんだか緊張しているんだか分からん状態で
俺達も話を聞きづらかったのだが
まあその話はまた落ち着いてから聞く事にしよう。

それよりも今、学園都市に来たお陰で大変な事を
しなければならなくなってしまった。

能力開発である。

今まで学園都市に関する情報は、学校の授業や日頃のニュースでもそれとなく
触れていたし、その中でも能力については、今まで居たあちこちの学校でも
噂になるほどだった。
更に言えば、今まで何人もの生徒が学園都市に転校していくのも見て来たけど
まさか自分達も望まずして学園都市に行くハメになるとは思ってもみなかった。

そして今では授業の中に能力開発の「時間割り(カリキュラム)」がある。
しかし従来の修学課程はそのままなので、
生徒はやる事が一気に倍に増えたようなものであり
もう既に皆一様に疲れたような感じになり部活動もままならず
しかも完全下校時刻なるものがあるので
放課後にはみんな一斉に自分の寮に帰るのだ。
今でもだらだらと部活をしているのは、部員みんなが
元々それなりに勉強ができている、隣人部くらいなものである。

部室は、新しい校舎の別館横、新しく併設された教会棟にある。
学園都市の建設技術は他所よりも進んでいて
教会程度の建築物なら一週間で仕上げてしまうものらしい。
教会の間取りも部室のレイアウトも、以前の時とあまり変わらないのは
どうやら星奈の要請によるものだそうだ。
確かに慣れない間取りだと不便なものだ。



「うーっす」
「あっ小鷹先輩、夜空先輩お疲れさまです」
既に部屋に居る理科が言う。
いつもながら制服に白衣を羽織った格好で
相変わらずBL同人誌を手にしている。
「おつとめごくろうさまです、あにき」
これは幸村だ。
コイツも温泉の一件以降、夜空の指示で執事服にはなったが
普段通り直立不動でポットの前に立っていた。
「あら、相変わらずバカ夜空も一緒なのね」
星奈もノーパソのエロゲ画面から全く目を離さず言う。
ちなみに最近ハマっているのはエロ水着を全種類コンプする
ギャルゲヱだそうだ・・・

「小鷹先輩、今日の「時間割り(カリキュラム)」とかいう
 疑似科学イベントはいかがでしたか?」
「え、何だって?
 おい理科・・・お前未だに認めてないのかよ」
「はい、私は超能力なんて存在しないと考えてますから」
「はあ・・・」

理科はもとより能力の存在を信じていない。
何でも子供の時はオカルト解明番組にハマり、その手の論客である大月教授の
ファンになり、最近では「と学会」いわゆるオカルトだの疑似科学だのを
嘲笑する団体に史上最年少で加入し、少数の科学者と評論家で構成される
能力否定シンポジウムに顔を出していた程で
筋金入りの能力否定論者だと自称している。
まあ俺も、能力者は大覇星祭のTV中継でしか見た事は無いし
学園都市に来てからも、まだ生で能力が発揮されたところを見ていないのだが。

「今日はまだ座学だよ。開発装置に掛かるのは今週末で
 その後「時間割り(カリキュラム)」の集中課程があって
 再来週に最初の「身体検査(システムスキャン)」があると先生言ってたな」

講義が始まったばかりでまだよく分からないが、どうやら能力開発の始めには
QUDBAIS(Quantum Un-unevenly Distributed type Brain Activity Interference System=量子非局在型脳活動干渉装置)
に全員が掛かる必要があるそうだ。
まるで幼女にしか見えないピンク髪の専任講師の話では
QUDBAISが脳にある能力の「スイッチを入れる」ことで
能力が初めて開発出来るという。
高等部でも早速、三年のクラスから順に装置を受けつつある。
ただ、今学校にある装置は移動車搭載型の五台だけで
準備入れて一人一回10分必要なので
どうしても1時限の時間内では1クラス分がせいぜいなのだ。
なのでまだ俺達のクラスには回って来ていない。
昔は、こういった装置の代わりに薬を使う方法もあったらしいのだが
副作用の危険性があるという事で今は使われていないそうだ。

「そうですか・・・実は、理科も「身体検査(システムスキャン)」だけでも
 受けろって言われたんですよ」
「へえ、良いじゃないか。せっかく学園都市に居るわけだし。
 能力開発を受ければ理科にも何か能力が芽生えるんじゃないのか?」
「いいえ!それは断じてありませんから!
 これを機に能力なんて存在しない事を理科が自ら証明してみせます!
 そうすれば学会に衝撃が走りますよ!理科は学会に復讐してやるのです!」
「はいはい・・・」
続けて熱弁を振るう理科を放っておいて、俺は部室内を見渡した。
そういえばまだ小鳩は来ていないようだ。
前に聞いた話では、何でも中等部は特に「時間割り(カリキュラム)」が多いらしく
俺達以上に多忙のようだ。
ちなみにマリアが居ないのは、以前よりも教会のミッションが増えたとかで
学園都市の外に出張でもしているのだろう。