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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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アゲハ蝶

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広い庭ではないが、キンカンの木が1本ある。庭の手入れをしていると、アゲハ蝶の幼虫を見つけることがある。木が小さい時は葉が食べられて無くなりそうになり、幼虫を2,3匹まとめて足で踏み殺した事がある。柑橘の爽やかな香りがした。しかし、全部殺すことはしなかった。
毎年何匹かを残し間引きした。10年ほどしたらキンカンの木もしっかりして来たので、それからは間引きはしなくなった。
ときどき紫色のアゲハ蝶が飛んで来たり、黄色と黒の模様の蝶が飛んで来る。
子供の頃は捕中網で蝶を捕えては三角紙に入れた事を思い出した。燐粉を落とさないように、羽を傷めないようにと、紙の上から静かに指先に力を入れたことなど思い出して来た。
夏休みには蝶の標本を作った。その時初めて注射器を持った。
ぼくは上手く注射器を使う事が出来なかった。同じ年の今井君は器用にこなした。
蝶が庭を飛んでいると、ひらりひらりと文字を書いているように感じる事がある。ゆったりとした時間が流れる。そして、いろいろな思いが込みあげて来る。
蝶の幼虫を全部殺さなくて良かったとも思う。殺していたらここに飛んで来てはくれなかったのではないかと思ったりする。
蝶の文字はきっとぼくに過去を思い出させるためなのかもしれない。
少年時代の気持ちや友達。時々、本当にときどき思い出す友達。明日にでも電話をしてみよう。
今晩はいく日振りかでメールを頂いた方がいた。手紙であればきっと美しい文字を書く方だと思うが、今は便利すぎて手紙はいただけないだろうと思う。
作品名:アゲハ蝶 作家名:吉葉ひろし