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D.o.A. ep.34~43

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「…私たちが訊きたいのはそんなことじゃないです!アライヴが、あいつらと何の関係があってこんなことになったのか、それを聞かせてください」
鬱々とした空気を振り払うかのごとく、リノンが高い声をあげた。
少年のような賢者は、メガネのブリッジを人差し指の関節でおしあげると、はあ、とまたも重いため息を吐いた。

「私は彼らについて思いを馳せるたび、実に憂鬱な気分になるのだ」
「…なんでさ」
「私は明るいところの次に、秩序を乱すものがキライだ。
何が言いたいかわかるかな。つまりティルバルト、あの光球を消してくれ。かわりに、そこのランプをつけることを特別に許そう」
何が言いたいかといえば、明るくて気が散ると言いたいらしかった。
エメラルダが示す先には、レーヤが持っていたのと似たランプが置かれている。
床に置かれていたので、ライルが取っ手を持ち上げると、同じように青い光が灯った。
再び室内が闇に近くなり、エメラルダはやっと人心地ついたようであった。

「クォード帝国…」
ロノアを襲ったオークたちと、クォード帝国が同一の集団に属するという確たる証明は、そのシンボルにあった。
黒紫赤の布地に炎と羽と蛇を金色でえがいた旗や、あるいはそれのレリーフである。

「それは、大昔の、比類なき栄華を誇った超大国の名だ。永遠の黄金帝国と呼ばれ、あんな繁栄は、今に到るまで見たことはなかった。
きっと、今より数百年を経ても、目にする事は二度とかなうまい。…それでも、形あるものは必ず崩れ去る。盛者必衰、むなしいものだね」
彼は、遠い遠い過去を懐かしむように語る。いったいこの賢者は、幾年を生きてここに立っているのだろう。

「今のクォードは、皇帝と称するイリュードのもとに何人かの化け物じみた猛者がいて、だいぶ前から世界に散らばった旧クォードの遺産を集めていた。
その遺産が、お前たちが目にしたトライディザスターや、鉄の巨艦や、奇剣ヨルムンガンドなのだ。
過去の遺物を以って、かつての超大国の姿を復活させるつもりなのか、と少々懸念の対象としていたわけだが」
「そのクォードが、何故ロノアを襲う」
まわりくどい言い方に、ティルは少々いらだったように促す。

「彼らは、ある時ぱったりその活動をやめ、潜伏した。それは、大十術師の目からも逃れるほどの、完璧な雲隠れだった。
そして、次に現れたのが10年前だ。
青いヴァリメタルが、赤いヴァリメタルとなった、あの日。あれぞ、まさしく運命の日だった」
不意に一瞬だけ、ティルの目に、恐怖と憎悪が入り混じってひきつった。ライルはおや、と訝る。

「10年前、ヴァリムに現れた男は、ある女と共にいたね、ティルバルト。彼らを覚えているか」

「…忘れない。忘れられるはずもない。あの蛇のような眼をした男、イリュード。共にいた女を、恭しく主上と呼んだ。
光栄に思うがよい、レンネルバルトは選ばれた、と傲慢に嘯いていた」

「………その“主上”の名は、デッドというのだよ」
「!」

ティルの過去を、ライルとリノンは何も知らなかった。
一端を垣間見て、それは触れられたくない、彼の最も弱く、負の感情に満ちたものであることをさとる。
吐き出すように、苦しげに吐露した「レンネルバルト」の名が、それを物語っていたからだ。
そしてリノンは、デッドという名を聞いたことがある。
祭りの夜、ソードと語らった時、ヴァリメタルが、デッドとアライヴの変化に反応する石である、と。
その時は、そんなことより気がかりで仕方がない問題があったので、気にも留めなかったが。
彼女はハッとする。もしかしたら我々はソードによって、知らない共通点で、かたく結び付けられていたのではないか。

「私は見ていたよ。そして腰が抜けるほど驚いた。その女こそ……
かつてあの人智を超えた黄金帝国クォードを、地におとしめて完膚なきまでに亡ぼした、張本人だった。
――――新生クォードは、かつてのクォードを亡ぼした女を頂いていたのだ」


作品名:D.o.A. ep.34~43 作家名:har