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ZOIDS 外伝 惑星間戦争 プロローグ

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「えっ…」
セルナは驚いた。エレシーヌも、若干驚いてた様子ではある。カミカゼは、予想していたような顔をした。
この空間は格納庫だった。
内部にあるのはゾイドだが、そのゾイドの殆どは、旧大戦ですら旧式すぎるオンボロと言われるゾイドたち。ガリウス、マーダ、グランチュラ、ザットンなどなど…。中央大陸戦争初期に活躍していた、今や幻のゾイドたち。
それが、傷一つ、錆一つなく、残っていた。
「何かしらあるとは思っていたけど、これはないんじゃないの?大尉」
「なに、この場所がどういう場所かは、貴女なら理解していたんだろう?」
「グローバリーⅢの墜落地点、だからねぇ…」
「グローバリーⅢ!?」
二人の会話にセルナは驚いた。この場所がグローバリーⅢの墜落地点は思いつかなかった。
いや、もしかしたら現代の惑星の人々の中ではその名すら知らない者も多いかもしれない。
かつて、この星の技術を革新させた最大の要因。地球人が来訪した母艦である。
「っていうか、グローバリーⅢって、グランドカタストロフに巻き込まれて、埋もれて消えたんじゃ…」
「正確にはこの空間はグローバリーⅢにあった中の物で、グローバリーⅢ本体とは関係ない。グローバリーは、既に宇宙空間。いや、もしかしたら、故郷に帰ったかもわからないな。」
「どういうことですか?」
セルナは質問を続ける。エレシーヌは、そろそろ潮時かという目をして、説明を始めた。
「グローバリーⅢは、埋もれてはいないのよ。グランドカタストロフの混乱で、それを掴むことはできなかったけれど、本当は脱出しているのよ。この星を」
「目撃情報と、山脈近くの小さなレーダー基地が、その証拠を残している。だいぶ昔の、データではあるがな。」
カミカゼは端末を取り出してデータを見せる。カタストロフ後の混乱で大陸が混迷する中で、付近に住む住民、そしてレーダー基地が観測したデータ。
「っていっても、あの船って相当デカイものだって聞いてましたけど…それが脱出を?」
「可能性は、あるんだ。カタストロフ当時、ここらへんは、かなりひどい天候と、砂嵐が天まで舞っていたし、航空ゾイドも飛び立つことのできない状況だった。」
「で、でも、その前にアレはもう飛び立てないものでは」
セルナはさらに続ける。疑問となる点はたくさんあるのだが、まずは必要な要点だけを絞って聞いた。
「…大陸間戦争時、共和国が暗黒軍と呼ばれた当時のガイロス帝国軍に対して最後に投入したゾイドの名を知っているか?」
「えっと…キングゴジュラス…」
「そうだ、やはりなかなかの博識だな。」
そう言ってカミカゼは、また端末にデータを出す。
「この機体に何が積まれていたかは、君は知らないだろうな。流石に。」
カミカゼは表示されるデータに指を刺した。
キングゴジュラスの内部データ。その部分に、黒い塊がある。
「この塊は、結局、カタストロフの終結、西方大陸戦争、暗黒大陸戦争、そしてネオゼネバス戦争やその100年後の企業間戦争後も、謎のブラックボックスとされている。出所だけなら、カタストロフ終結の時から知られていたが。」
「その出所って」
「グローバリーⅢの地球技術だよ。しかも、大陸間戦争まで使うことを禁じられた技術だ。解析もすることができずに、ただそれを複製して、いや、複製するだけでも大変なブツを搭載したオーバーテクノロジーすぎるブツだ。オーガノイドシステムなどの古代ゾイド人技術も匹敵いや、凌駕する技術だ。これがあったから、あのキングゴジュラスという化け物は暗黒軍を撃退できたのだ。」
セルナは絶句するしかなった。エレシーヌも、話の内容は知っていたが、改めてその話を聞くと、唾をのみこむしかなかった。何より、カミカゼ自身が、そのことに大きく関わっているような、そんな雰囲気を感じさせた。
「さて、問題はその技術をどうやって手に入れたかだ。技術提供は戦争初期から、地球人は怠らなかったが、本当はもっと大事なものを隠していた。それがこのブラックボックスだが、キングゴジュラス開発に至るまで、それを提供することだけは頑なに拒んだグローバリーの乗員がいる。ずっとこの付近に住み続けて、この船の番人のごとくな。」
「まさか、船の修理と引き換えに」
「上出来だ、坊主」
カミカゼは端末を閉まって、格納庫の奥に進もうとする。
「この場所を発見したのは、つい最近ここの電磁波が弱まったためだ。監視衛星が、生命探知を行って発見した。このお蔵入りのゾイドたちは生きているからだ。それゆえに見つけることができた。」
「なるほどね。どうしてこの場所を見つけられたのかだけは私もわからなかったけど。でも、それだけ100年以上もこの場所の電磁波は弱まらなかったってわけ」
「そういうことだが…」
カミカゼがそれを言い終える前に、轟音が聞こえてきた。
外からだ。カミカゼは無線機を取りだした。
「何があった!?」
『大尉、盗賊共の群れです。20機、いや30機!』
「わかった!俺のゴジュラスだけは絶対に守りきれ!それまで死守しろ!」
カミカゼはそう言って重いカービンなどは捨てて走って行った
「お前たち!その場で待機だ!この場所は盗賊ぐらいの攻撃じゃ崩れはせん!」
走り去るカミカゼを見送って、エレシーヌは座り込んだ
「さて、あの軍人さんらが片付けてくれるまで寝るとしましょうか…ってあんた何やってんの」
マーダに乗り込もうとするセルナを見て、エレシーヌが叫ぶ。
「僕も出ますよ!盗賊ぐらいなら!」
「やめときなさい!あちらはあれでも精鋭の軍人さんよ!ゾイドバトルに出てるAランクいや、Sランクチームの連中にも劣りはしないわよ!」
「それは僕だって同じだ!」
マーダに電源を入れると、マーダは何百年という眠りから覚めて起動する。起動した反動で、多少の埃が舞い落ちる。
「やっぱり操縦系統はレブラプターと同じように。しかも、操作性と機動性はレブよりも!武装は貧弱だけど、いける!!」
セルナはそう叫んでマーダを走らせる。
マーダは旧大戦初期の機体だが、その操作性は帝国兵士から絶賛され、尚且つその後継機に近いレブよりも最高速度と機動性があった。
走り去っていったマーダに、エレシーヌは呆れた。
「あーあ、いっちゃった。さて、私は寝…ん?」
エレシーヌはふと見た方向にあるものに気付いた。
それは、隠し扉だった。





盗賊のゾイドたちはレブラプターや、スナイプマスターなどの小型が中心だが、数は多かった。一方の軍人らはコマンドウルフ4機、そして死守を命じられたカミカゼのゴジュラス。死守を命じられていた4人の軍人は、懸命に盗賊らから死守していたが、数が多すぎた。
「まだかよ!大尉は!」
そう叫ぶコマンドウルフのパイロットらに、通信が割り込む。
「待たせたな!お前ら!」
カミカゼはゴジュラスを起動する。完全に電源を落としていたわけではなく、スタンバイモードで降りていたため、すぐにゴジュラスは動けた。
「よし、いくぞ!」
ゴジュラスが咆哮しながら盗賊たちに向かっていく。
流石はゴジュラスだった。過去の大戦では、レブラプターの部隊に八つ裂きにされた経験があるが、カミカゼの乗るゴジュラスは、MK2仕様ではないものの、鬼神の働きを見せた。