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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第八話

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「はい、私は桶狭間の出身でございます。夫とはそこで知り合いました。父母を戦で亡くしたと申しております。信長様には申し上げにくいことですが駿河出身です」

「・・・なんと!そのようなことが。良くぞ申してくれた。そなたはうそ隠しのない綺麗な心を持っておられる。信長を恨んでいられようなあ」

「今は私と藤子のために仕事を頑張ってくれています。夫が居なければ私は多分死んでおりました。命の恩人で頼れる方です」

「そうか、良い話を聞いた。この戦国の時代にそのようにして巡り会われたことは運命だったのであろう。末永く幸せになされよ」

「ありがとうございます。今の言葉で夫は過去を忘れてくれるかも知れません。しっかりと伝えさせていただきます」

「うむ、頼んだぞ。よし、光秀を呼ぼう。光秀!光秀!参れ」

信長にまどかを案内するように言いつけられて、安土城を出た。少し寒い風が吹き始めていた。

「藤子様は寒くはないですか?」

優しい目つきで光秀は屈んで尋ねた。

「はい、だいじょうぶでございます」

頭を撫でて、にこっと光秀は笑った。
この人が・・・まどかは信じられない気持ちでいっぱいになった。涙が頬を伝い切ない気持ちが心を支配した。