小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

今なら・・・

INDEX|1ページ/1ページ|

 
50歳を過ぎると、時々昔を思い出すことがよくある。歳のせいかなと、思ってはみるが・・・。
2か月前・・・カーステからのある曲を聴いて高速のSAに車を滑り込ませた。
懐かしくほろ苦いような懐かしい匂いを思い出した。僕の目からは、涙がこぼれ出てきた。
5年・・10年・・20年。25年前の記憶が、フラッシュバックのように蘇ってきた。
僕の人生の中で一番嫌な時代が。劣等感、組織の中での挫折感。
・・・苦い恋の思い出。
あの音楽とあの匂い・・・25年前・・!!!
苦い思い出を全て思い出すのに時間はかからなかった。

彼女が、玄関先でうつむいて「がんばって・・」を、言ったこと。

苦い思い出は、身から出た錆のような・・若気の至り・・豚に真珠・・美女と野獣・・

県下最低の高校から、親の援故で地方では有名な企業に就職した、僕は劣等感と挫折感の中で日々悶々と過ごしてました。23歳になった僕は、友人の紹介でサークル活動に参加するようになりました。それから1年ほどしてサークルに彼女が現れたんです。
「久しぶり・・」彼女から話しかけてきました。「・・んん」(なんて答えたら・・・)
「いつからしてるの??」「・・1年くらいかな」「なら、教えてね」
「・・う・ん・ん」
中学まで同級の…彼女は美人で秀才。僕は落ちこぼれの劣等感の塊・・・。

そんな再会から、二人だけの交際に変わるのに・・時間は掛りませんでした。
彼女の交通事故に立ち会ったことで・・・連絡を取り合うようになりました。
でもサークルに友人が多く居たのでコソコソとした交際が始まりました。
サークル後に、遠くの町の喫茶店によく行きました。
練習サボって、花火にも行きました。ばれないように、周りの友人を誘って団体で遊びに行きました。(こっちの方が多かったかなぁ)

二人でいるときは、現状の不満と将来のことばかり話していました。
彼女は、僕の愚痴をニッコリとほほ笑んで聞いていました。

付き合いが一年を過ぎたころ位から、二人の将来を少しずつ思い描くようになったんです。
でも、それを考えれば考えるほど、自分の中の彼女への劣等感が大きくなって行きました。
好きになればなるほど、彼女が手の届かない存在に思えてきました。

作品名:今なら・・・ 作家名:yasuo