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二人の王女(5)

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 ひっと、思わずあすかはシェハにしがみついた。シェハはあすかを守るように、マントを大きく開き、あすかを隠そうとしてくれていた。
「アーク、行くぞ!」
「あぁ!」
 マルグリットは馬を勢い良く蹴ったと思うと、そのままその生き物たちの方へ突進していった。鋭利な剣を振りかざし、一匹に飛びかかる。横からそんなマルグリットに食いかかろうと、口を開いてもう一匹が飛びかかった。それを、アークが制するように斬りつけた。
「行くぞ!」
 崖の隅っこで立ち尽くしていた一人が声を上げ、剣を手にもう一匹に飛びかかった。もう一人も、それに続く。
 馬を食べることに夢中である残りの三匹は、そんな戦いには興味がないようにただ貪り続けている。その様子が異様で、あすかは馬の上から地面に吐いた。
 マルグリットが一匹の首を、剣で刎ねた。馬に乗らない一人が動きに戸惑い、あすかたちの方へと逃れてきた。シェハは馬から飛び降りて、あすかの手を引いてあすかも降ろし、その騎士に大声で云った。
「この馬を使いなさい!」
 騎士は目配せし、強く頷くと「恩に切る」と素早く馬に乗り、仲間に応戦するように再びその生き物に切り掛かった。
 アークも生き物の首を刎ね、二人の騎士たちに応戦した。マルグリットは、馬に貪り付く三匹に切り掛かった。
 あすかは、ただシェハの後ろに隠れていることしかできなかった。シェハは剣を抜き、生き物がこちらへきたときのために構えて、様子を見ている。


 どれだけの時間が経ったかわからない。六匹の不気味な生き物の首をすべて刎ね、ようやく馬の動きが止まった。
「なんとか、窮地を脱したようだ」
 アークが肩で息をしながら云うと、マルグリットが眉をしかめ、辛辣な表情で云った。
「こんなところにまでジョハンセが来るとは…」
 馬に股がった騎士が、馬から降り、無惨にも食いちぎられた自身の馬の前に歩み寄り、祈るように腰をかがめた。もう一人の騎士も、同じようにその隣に膝まづいた。
 しばらくして、一人が立ち上がり、丁重に頭を下げ、云った。
「危ないところを助けられた、礼を云う。貴女は…もしやアズベリー国の王女…」
「左様、アズベリー国第一王女、マルグリット・アズベリーだ」
 二人の騎士らは、マルグリットの顔を知っていたのだろう。隠し通すことはできないと判断したらしく、マルグリットは堂々と名乗った。
作品名:二人の王女(5) 作家名:紅月一花