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つだみつぐ
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novelistID. 35940
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ひとつだけやりのこしたこと

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この絶望を誰かに語りたい。吐き出したい。
でも、リアルでわたしとさとみの両方を知っている人は誰一人いない。
ネットでも・・・いや、ネットには一人だけいる。

【かをりへのメール 2011年4月13日 21時15分】

かをりさん。
あのね、さとみがわたしと別れるって。
ほかの男性から「つきあってくれ」って言われて、その人のこと好きだから、つださんとは別れる、って。
いちおう、6月にもう一度会う(長崎に来る)約束を取り付けたけど・・・

つださん、混乱中。さとみと一緒になることはつださんの唯一の希望だった。うまく理解できない。

【かをりからのメール 2011年4月13日 21時31分】

それって・・・

スミマセン かをりも理解不能です

どうしてだろう? さとみさんはそんないい加減な女性ではないと思っていました

本当に彼女がそう言ったの? 他の男性?
それは本当のことだろうか?

いつも真摯な姿勢のつださんのことを かをりよりもっと理解してるはずだと思う

そういうことを言えば つださんがどれほど傷つくか 思いやれないようないい加減な女じゃないはずよ

6月にもう一度 ゆっくり話し合って

っていうか 毎晩電話でお話してたんじゃなかったっけ?

突然のそんな心変わりをするような人だとは思えない・・・

意味不明ですね

【かをりへのメール2011年4月13日 21時45分】

毎晩電話で話しています。
その男性のことも詳しく聞いています。
勝手にかをりさんに話すわけにはいかないけど。

だから、ほんと。

ほんとだから、混乱している。
「彼といるとすごく楽で楽しい。」って。

心変わりする人とは、思っていなかった。

でも、した。

さとみは電話のたびに「ごめんなさい、でも、どうしようもないの」って、泣いてる。

【かをりからのメール 2011年4月13日 22時13分】

たぶん 前のだんなとのトラブルでずたずたになった彼女の心を優しく包んであげたのがつださんだった

だけど つださんとさとみさんの物理的な距離が 彼女には遠すぎたのかもしれない

かをりの勝手な判断なので 間違ってると思うけど・・・

でも つださんと肌を重ねてるうちに 誰かに頼ってもいいんだって言う その安心感が もっと近くにいる人にコピペされてしまったんじゃないかしら?

なので さとみさんの今の感覚が なんとなく熱に浮かされてるように感じてしまいました

熱が冷めた時に もしかして一番傷つくのがさとみさんだったら・・・

そう思うと 今の彼女の決心は ちょっと危なすぎる気がするんだけど・・・

【かをりへのメール 2011年4月13日 22時49分】

「頼っていた」のは少し違うと思う。
さとみにいつも言っていたの。「わたしが手を引くのはさとみが誰にも手を引かれなくても歩けるようにしたいからだよ。」
そしていま、さとみは自分の足で歩き出した。わたしは横で一緒に手をつないで同じ方向に歩いていると思ってしあわせだった。
でも、さとみは、嬉しくて、スキップしてどこかに行って、新しい恋を見つけたの。

彼はわたしよりずっと、さとみより若いし、デブじゃないし、わたしよりはるかに歌がうまいし・・・何より、近いし。
とってもかわいそうな生い立ちで、さとみが話を聴いてあげていた。
でも、すごく前向きで明るいんだって。

彼がさとみに寄せる思いは本物だと思う。「生まれてからこんな気持ちになったのは初めてです。」って。

あ、彼のこと、勝手に書いちゃった。


さとみは自分で、「自分はおかしい、よくわからない」、って。
「つださんのこと大好きで別れたくなんかないよ、でも、両方なんてずるいし、自分でもどうしようもないの。」

熱に浮かされているということかも知れない。


でも、わたしにとっては、とにかく、一番大事な人が突然失踪したような・・・
喪失感


いまね、体温がどんどん下がっている気がする。
無力感。
2年半前にはおなじみの感覚だった。忘れていた。やらなくちゃいけないことが、「やらなくちゃ」と思えば思うほどできなくなる。
たぶん、このあとには強い自己嫌悪が来る。

かをりさん、これからもしわたしがあなたに対してひどいことを言ったら、それは病気だからね。だからって、許されはしないけど。

なぜかをりさんにわたしの状態を言うかっていうと、誰かに言うと少し楽になる(時には症状が消える)けど、さとみにいえばさとみを無意味に苦しめるから。それでなくても罪悪感でつらいみたいだし。

かをりさんのほかに二人の共通の知人はいないの。